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ミュージカル「アルジャーノンに花束を」に出演する
矢田悠祐さん、水 夏希さんのインタビュー
公演概要
原作は、作家ダニエル・キイスが1959年に発表した同名小説。
日本でも発行部数300万部を超える名作であり、小説を元に、アメリカ・カナダ・フランスで映画化され、
日本でも2002年、2015年にテレビドラマ化されている。
ミュージカルとしては、2006年2月、日本初演を果たし、2005年度菊田一夫演劇賞(浦井健治)などに選出。
また2014年の上演時にも大きな話題となり、人々の心に深く刻まれた傑作ミュージカルとなった。
2016年には、中学・高校の先生の投票で、「今一番生徒に読ませたい本」を選ぶ文学賞「君に贈る本(キミ本)大賞」を受賞。
2017年春、矢田悠祐を主演に迎えた新生「アルジャーノンに花束を」が大好評を博し、
2020年秋、2006年の初演が上演された博品館劇場での再演が決まった。
ストーリー
32歳になっても幼児並みの知能しかないパン屋の店員チャーリィ・ゴードン。
そんな彼に、夢のような話が舞い込んでくる。
大学の偉い先生が頭を良くしてくれるというのだ。
この申し出に飛びついたチャーリィは、白ネズミのアルジャーノンを競争相手に連日検査を受けることに。
やがて、手術により、チャーリィは天才に変貌したが…。
矢田悠祐さん、水 夏希さんにインタビューを行いました。
(取材日:2020年10月2日)
ーーーミュージカル「アルジャーノンに花束を」は、今回再々再演となります。
まだこの作品を観ることができていない方もいらっしゃると思いますので、
それぞれの役について教えてください。
◆矢田悠祐
僕の演じる主演のチャーリィ・ゴードンは32歳ですが、知能の遅滞がある役で、
IQが普通の人よりも低い。手術によって知能がどんどん上がっていくのですが、
その知能が発達するスピードが速すぎて、自分の感情が追いつかなくなって、
いろいろな人との関係が良くも悪くも変化していくという役です。
◆水 夏希
アリス・キニアンという脳科学者で、チャーリィに寄り添って、
そのすべてを見守り受け止めていくような役です。
ーーー初めて会った時と今のお互いの印象に変化はありますか?
◆水 夏希
この作品で共演する前に(矢田さんが出演した)舞台を拝見して、
歌って踊れる役者さんだなという印象でした。
◆矢田悠祐
僕は前回が初めての共演で、水さんはシュッとされているので…
(水さんの顔を見つつ)強い人なのかなぁと思って。
◆水 夏希
大丈夫、最初によく言われる(笑)。
◆矢田悠祐
いま言おうか悩みました(笑)。
でも全然そうではなくて、おおらかで、すごく助けてもらっています。
ーーーまた、この作品を上演すると聞いた時は、どう思われましたか?
◆矢田悠祐
自分の初主演舞台ということもありますが、大好きな作品。
ありがたいことに、前回すごくいろいろなことを叩き込んでいただいて、その後に出た舞台で、
自分の中での軸になっている作品だなということもあるので、もう一度できると聞いた時は嬉しかったですね。
◆水 夏希
この作品は、私がこれまで接する機会が少ないジャンルの作品でした。
前回出演して、長年世界中から愛されているという意味もわかりましたし、
やればやるほど、時代を経ても人々に訴えかけるものがある作品だなと思ったので、
時間を空けて再チャレンジできるということは、すごくありがたいなと思いました。
ーーー矢田さんは、前回初主演ということもあり「真ん中にいる重みを感じる」とお話されていましたが、
今回お稽古に入っていかがですか?
◆矢田悠祐
こんなに大変だったっけ?と(笑)。先日、初めて一幕のお稽古がついて通したのですが、
やらなければいけないことが、想像していた倍くらいありました。
わかっているはずだったのですが、3年経って、ちょっと忘れていましたね。
頭のどこかでいけるだろうという慢心があったのかもしれません。
ーーーチャーリィは、1人の人間の中で何人も演じるような大変さがあるのかと思います。
◆矢田悠祐
そうですね。自分の中で細かく変化をしていかなくてはいけないので大変ではありますが、
そこが役者としてはやりがいのある楽しみな部分ですね。試行錯誤しながらやっています。
ーーー改めて役に接してみて、前回と違う部分などありますか?
◆水 夏希
前回は宝塚歌劇団を退団してから7年目くらいでした。“寄り添う”とか、自分が“不安に思う”とか、
“自信がなくなる”とか、そういう役をまだあまり演じていなかった時期なので、
“強さ”が出ないようにとか、“威圧的にならないように”とか、
そういうことを排除してやってきていたので、
今の私から見るとわざとらしい優しさではないかな!?みたいな感じがしました。
私から見れば障害を持っている方に対して優しく接することになるけれど、
お客さまを介して見ると、失礼になっているのではないかという思いもあるので、
普通でいいのではないかなと。
普通に接してみて、普通にはできない部分を自分の中で理解した上で接するということを
していけたらいいのかなと思いますね。
ーーーコロナ禍で、演じる側も観る側も環境がかなり変わったと思いますが、
どのように捉えていますか?
◆矢田悠祐
どの仕事もそうですが、演じる側は、本気でこれが自分の生きる道だと思って仕事をしていると思います。
その中で、僕らの仕事は観てもらわないと作品が存在しないことと同じになってしまいます。
その観てもらえる可能性が、今のコロナ禍で減っている現状は悲しいのですが、やれる対策は、
できる限り行って、観てくださったお客さんに必要だなと感じていただくしかないと思うんです。
観てくださった人たちが、何年後か何十年後に思い出して、心のどこかに残っているようなものに
なればいいなと思ってやっています。いろいろありますが、足を運んでいただきたいというのが本音ですね。
◆水 夏希
これから初日が開いて、どんな状況になるかわかりませんが、
「今回も観に行きます」という方や、「頑張って一回観に行きます」という方もいらっしゃいます。
勇気を持って来てくださった方に「来て良かった」と思ってもらえるような題材だと思いますし、
そう思ってもらえるように命がけで取り組んでいきます。
ーーーこの作品を通して、今だから伝えられることは?
◆矢田悠祐
自分の思っている正しいことが本当に正しいことなのか、ということを考えさせられる作品
なんじゃないかなと思います。その人にとっては正義で言っているかもしれないけれど、
自分を客間的に、離れたところから見た時にどうなのかなというのを考えられる作品なのかなと思います。
扱っている題材もセンシティブといえばそうですし、演じている役柄でも、自分の立ち位置が変化した時に
見えなかったことが見えてきたり、逆に見えなくなったり。考えてもらえる機会になると思います。
◆水 夏希
確かに1つの物事の見え方が全然変わってくるというのはありますよね。
先ほどもお話した、自分が思いやりだと思っていても、相手を傷つけていることがあったりということもあるから、
冷静になって、相手の立場でものを考えてみようかなというきっかけになったらいいですよね。
ーーーでは最後にメッセージをお願いします。
◆矢田悠祐
まずは無事に幕が開いて、健康に最後までやり切る気持ちですし、やり切れたらいいなと思っています。
すごく好きな作品だし、大好きな曲もいっぱいあるので、単純に楽しみに来ていただけたらと思います。
◆水 夏希
前回とメンバーが違いますし、作品的にも(脚本・作詞・演出の)荻田さんがマイナーチェンジされている
部分もあります。新しいものになるだろうなという予感もするので、前回観てくださった方はもちろん、
初めての方にも後悔はさせません!!劇場で、お待ちしております。
ミュージカル「アルジャーノンに花束を」
期間:2020年10月15日(木)~11月1日(日)
会場:博品館劇場
STAFF:
原作:ダニエル・キイス
「アルジャーノンに花束を」(ハヤカワ文庫)
脚本・作詞・演出:荻田浩一
音楽:斉藤恒芳
出演:
矢田悠祐
大月さゆ 元榮菜摘 青野紗穂
大山真志 長澤風海 和田泰右
戸井勝海
水夏希
チケット代金:10,000円(全席指定・税込)
https://music-g-h.com/stage/algernon/
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