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映画『望郷の鐘-満蒙開拓団の落日』製作発表
出演は内藤剛志、渡辺梓、星奈優里、山口馬木也、勝又さゆり、他
映画について(資料より抜粋)
敗戦後、70年近くなろうとしておりますが日本と近隣諸国との関係は、いまだに良くなっていません。
特に中国との関係は、緊迫した悪化状態にあります。そういう状況下であればこそ、
なおさら日本が引きずってきた満蒙開拓団の悲劇の歴史については、若い世代にきちんと知ってもらう必要があります。
またその体験者や戦中世代などは、改めてこの映画を観ながら、記憶を整理し伝える限界の時期にきております。
下伊那の阿智郷開拓団は、敗戦直前の5月1日に海を渡りました。
また、東京大空襲のさなかに「疎開開拓」と称して旧満州へ行くことを勧められた人々もおりました。
戦争の実態を知らされないということは、どんな悲劇を招くことか。
今回の映画は、阿智郷にやむ得ず参加する運命になった住職にして教員だった故山本慈昭さんの人生を追います。
が、何よりもその悲劇に始まる中国残留孤児救済にかけた情熱を、鮮明に描いていきます。
人物伝ではなく、極めて人間くさいドラマを展開していきます。
製作発表が行われました(2014年4月4日)
『望郷の鐘-満蒙開拓団の落日』という映画が製作されることになり、
都内で記者発表が行なわれました。
会見では、国枝秀美(プロデューサー)が司会を務め、
和田登(原作・脚本)、山田火砂子(監督)、
出演の内藤剛志、渡辺梓、星奈優里、山口馬木也、勝又さゆりが登壇。
今年の7月~8月に長野県の下伊那群阿智村を中心に撮影し、今年秋頃の公開を目指すそうです。
旧満州に入植した満蒙開拓団の姿を通して平和の大切さを訴えるストーリーですが、
ただ暗く悲しいだけの内容ではなく、「人間っていいな」と感じられるように、
そして、映画として楽しめる作品にしたいと意気込みが語られました。
出演者は、登壇者以外に、丹阿弥谷津子、磯村みどり、堀内正美、達淳一、常磐貴子、他を予定。
まず始めに満蒙開拓平和記念館の映像資料が放映されたのち、
登壇者より製作意図や意気込みが語られました。
◆山田火砂子(監督)
この映画を作りたいと思ったのは「満州って知っていますか?」と聞いた時
50歳以下ですと答えられない人がほとんどなんです。14年間存在していた満州の話は
日本の歴史の授業では触れられていません。歴史の1ページとして入れるべきなのではないかと思うんです。
政治の世界も最近どんどんきな臭くなってきたなと感じ、なんとか平和を維持する日本であって欲しいという
思いで製作に踏み切りました。日本は昭和20年の8月に終戦(敗戦)をするわけですが、
その直前にも多くの人が満州にわたっているんです。色々な本を読んで
それが事実であることを知りました。私も13歳の時に戦争で家が丸焼けになりました。
満州でつらい時期を過ごした方々は食べるものもなく、生のじゃがいもや麦の穂を食べて
飢えをしのんでいたそうです。戦争をしてはいけないと改めて感じています。
平和が第一という信念のもとでこの映画を作りたいと思います。
この思いに賛同してくださる方は是非支援していただけたらと思います。
◆和田登(原作・脚本)
この本を書いたのは30数年前なので、現在の日中関係とはだいぶ違います。
「望郷」というタイトルの本でしたが「望郷の鐘」というタイトルで改訂版を出しました。
この本に関しては実際にあったことを調べてノンフィクションで書いていますので、
それを是非きちんと伝えていきたい。
脚本は自分だけでなく監督や他の方も手を入れております。原作がノンフィクションと申しましたが、
映画はそれだけでは楽しめるものになりませんので、開拓団の群像という形で
人間くさい人物を描き出すことになります。
◆内藤剛志(主演・山本慈昭役)
どのような役をいただいても一生懸命やっておりますが、
特に戦争の役の時は人ごとではないような不思議な気持ちになります。
自分は昭和30年生まれで当然父は戦争に行っておりますし、母は青春時代を戦時中に過ごしています。
そういう両親に育てられたというのも大きいかなと思っております。
どこか人ごとではないという気持ちが常にあり、今回やりがいがある役をいただいたと思っております。
この映画でやりたいのは、二度とこのような悲惨な戦争が起きないように願いたい。
そしてどんな悲惨な状態であっても人間って強いんだぞということを伝えたい。
これを伝えるのが僕の仕事かなと思います。
先日、監督とお話しして「映画は楽しくなくてはいけない」という話が出ました。
エンターテインメントとしてもいいものが出来るよう全力を尽くして取り組みます。
◆渡辺梓(山本慈昭の妻・文枝役)
満州という言葉は分かっていても、その内容は知りませんでした。
台本を読んでも漠然とのイメージで無知な自分を思い知らされました。
主人役の内藤さんとはこれまでにも共演させていただいておりますので、
無理に頭でっかちにならず、この作品を通して体験し、
ありのままをみなさんに観て頂けたらなと思います。
私も子どもを2人持つ母親として何を残すか、どう伝わるか・・・。
主人役の内藤さんをサポートしながら頑張って参ります。
◆星奈優里(山本慈昭の娘・冬子役 周麗華役)
学生時代にこの頃のことは習った記憶がありませんが、祖父母が戦争体験者です。
舞台で戦争時代の作品に出演したことがあり、祖母に戦争の話を聞いたところ「申し訳ないけどあの時代の辛さは
分かってもらえないよ」と言われました。その言葉がすごく印象に残っています。
祖父母からは戦争の話はなかなか教えて貰えませんでしたが、今回この作品に参加し、
次の世代に伝えていくという機会を与えていただいたことはとてもありがたい経験です。
その役割に恥じないように役目を全うしたいと思います。よろしくお願い致します。
◆山口馬木也(記者・依田義彦役)
先ほど監督がテーマは平和とおっしゃいました。もちろん僕は平和の中で育っているので
戦争のことは知りません。でもこの台本を読み、調べていくうちに満蒙開拓団の歴史が
負の遺産でしかないんです。でも山本慈昭さんの姿を映画化することで、
(負ではなく)遺産になればいいなと思います。限られた出演シーンですが
責任感と使命感を持ってこの映画に臨みたいと思います。お力添えをお願い致します。
◆勝又さゆり(久美子役)
今はもう亡くなりましたが、ものごごろついた時からずっとおじいちゃん子でした。
おじいちゃんは、「戦争の頃は辛かった、お前はいい時代に生まれてきたな」と
言っていました。満州にいたことがあるという話も聞いていたので、
この映画のお話をいただいた時に、おじいちゃんを思い出しました。
戦争は起こしてはいけないんだということを感じていただけるように
この作品を通して伝えていけたらと思います。過酷な撮影になるかもしれませんが、
最後まで精一杯務めてまいります。
情報は書き込んだ時点のものですので、実際の内容と異なる場合があります。
あらかじめご了承下さい。