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『Chanson de 越路吹雪 ラストダンス』
プレビュー公演観劇レポート
33回忌におくる、伝説のエンターテイナー越路吹雪の物語 伝説のヒット曲の数々と豪華 キャストで舞台に甦る!
1980年11月7日、稀有なエンターテイナーとの別れは突然やって来た。本当に突然・・・。
時に笑い、時に涙しながら共に支えあったマネージャー・岩谷時子
熱い恋で結ばれた衣裳デザイナー・真木小太郎
よき理解者であった音楽プロデューサー・渋谷森久
終焉の時まで慈しみあった夫・内藤法美
その他、越路吹雪の生涯を彩る数多くの人々
パリでのピアフとの衝撃的な出会い、それは「越路シャンソン」の誕生へ・・・
<公演スケジュール>
11月16日(金) 14:00 東京 かめありリリオホール※プレビュー公演
11月20日(火) 13:00 長野 ホクト文化ホール 中ホール
11月23日(金/祝)13:30 東京 東京エレクトロン韮崎文化ホールBREEZE
11月27日(火) 13:00 金沢 北國新聞赤羽ホール
12月4日(火)~19日(水) 東京 日比谷シアタークリエ
12月22日(土) 12:00/17:00 名古屋 中日劇場
12月29日(土) 13:00/18:00、12月30日(日)13:00大阪 梅田芸術劇場 シアタードラマシティ
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今までも「越路吹雪」を題材にした作品はテレビや舞台でたびたび取り上げられてきましたが、今回は出演者6名でこの物語が構成されているというのがひとつの特徴です。日本の舞台に大きな衝撃を与え、今なお語りつがれている「越路吹雪さんを取り巻く人々」の人間模様が描かれています。
冒頭は現代の帝国ホテル。岩谷時子さんが記者の取材に答えるところから始まります。昭和14年頃、宝塚歌劇団の劇団員である越路吹雪さんと、宝塚歌劇団出版部に所属している岩谷時子さんは出会います。これがまさに運命の出会い。その後永きにわたり公私を共にし、二人三脚で活動してきました。今回の舞台での原案も、岩谷時子さん。たくさんのエピソードが盛り込まれながら展開していきます。
越路吹雪さんは宝塚歌劇団退団後東宝に在籍。この方のヒストリーを演じるにはぴったりの経歴を持つ瀬奈じゅんさんが越路吹雪役を演じました。「いろんな方にすごいプレッシャーがあるんじゃ無いかと言われるんですけど、プレッシャーはあまり感じてなく、私の体を通して越路吹雪さんの生き様を皆様にお届けできればと思っております」と意気込みを語っていましたが、感性豊かで恋多き女性を生き生きと演じました。自分の価値観を持って、何事にも全力投球。そんな瀬奈さんの姿が重なります。
岩谷時子役を演じたのは斉藤由貴さん。「私自身も岩谷先生とお仕事をご一緒させて頂いたことがあって、私もすごく大好きな方でいつも先生のことが好きだと申し上げていたので、こうやって岩谷先生の役をやらせていただけるのは光栄です」と語っていましたが、ほのぼのした人柄でこういう方が越路さんの側にいらしたからこそ、今なお語り次がれるスター「越路吹雪」の存在があるのではないかと思いました。斉藤さんが演じる岩谷さん、控えめでありながら機転が利いて、とてもかわいい女性でした。
今回初顔合わせとなる瀬奈さんと斉藤さん。「イケズ」「スカタン」と言い合いながら、強固な関係性を結んでいる二人。タレントとマネージャーという枠を超え、人生のパートナーでもあった二人の姿からは学ぶべきところがたくさんあるなと感じました。
このほかの多くの役を他のキャスト4名が演じています。宇野まり絵さんは、時空を超えた存在として活躍。記者や付人、石井好子など、声色の使い方などで役の変化を付けました。柳家花緑さんは、宝塚歌劇団理事長、古川ロッパ、菊田一夫などを演じました。よく見ていないと一人の方が演じているということを忘れてしまうほど。さすがは落語家です。大澄賢也さんは、小林一三などのほか、越路さんのご主人でもあるピアニスト・内藤法美役も演じます。大スターであり恋多き生き方をしてきた越路さんを支える夫。どのような気持ちで接していたのでしょうか。そんな一人の男性の生き様を大澄さんならではの視点で演じています。越路さんの恋人・真木小太郎役などを演じたのは別所哲也さん。舞台に立った時にはスターである彼女も、等身大の女性だったんだなと思えるような表情を見せるのは、小木さんと居るときだったのかもしれません。そう感じられるような別所さんの演技でした。キャスト4名は、数々の役を演じるだけで無く、ダンスナンバーなども披露。こちらも見応えあり。
作品の中では「ブギウギ巴里」「愛の讃歌」など越路吹雪さんの珠玉の名曲がたくさん!単に羅列するのではなく、様々なエピソードを盛り込みつつも、そこに観客が思い描くイメージや思い出を重ね合わせることができるような舞台でした。
私は気がついたら、岩谷時子さんに自身を重ねて見ていました。宝塚の編集者を経て、越路さんのマネージャーを務めた方。なんだかちょっと感覚的に通じるところがあるからこそ、尊敬しました。のちに数々の名曲の訳詞も手掛け、訳という枠を超えてあらたな息吹を吹き込みました。
開演前、舞台上には額縁がいくつかつり下げられていました。そのうちのいくつかは映像が投影できるようになっていて、越路さんの実際の写真が映し出されます。しかし、その中には何も映し出されない額縁がありました。もしかしたら、この額縁の中に自分の思い描く越路さんの姿を重ねて見て下さいという、演出だったのかな、そんなことを思いながら劇場を後にしました。大仕掛けがあるわけではないけれど、心がホッと温まる作品でした。
『Chanson de 越路吹雪 ラストダンス』
原作:岩谷時子 脚本:髙平哲郎 演出:山田和也
出演:瀬奈じゅん 斉藤由貴 宇野まり絵 柳家花緑 大澄賢也 別所哲也
http://www.lastdance-koshiji.com/
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