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せたがやこどもプロジェクト 2023《ステージ編》『メルセデス・アイス MERCEDES ICE』が開幕!
初日コメント・舞台写真が到着
せたがやこどもプロジェクト2023<ステージ編>として、8月11日~20日、
世田谷パブリックシアターにて上演中の『メルセデス・アイス』が好評を博している。
このプロジェクトは18歳以下は各回150名限定で無料で招待(要予約・発券手数料)という夏のスペシャルプログラム。
客席には、夏休み中真っ只中の小学生とその親御さん、中高校生同士などが訪れ、約1時間30分のスペシャルな観劇体験を得ている。
もちろん劇場には昔子どもだった大人もまた数多く足を運んだ。
『メルセデス・アイス』は、イギリスの劇作家フィリップ・リドリーの児童小説を舞台化した作品。
演出は世田谷パブリックシアターの芸術監督を務める白井晃さんが手がけている。
今作では、演劇上演時に採用されることの多いプロセニアム形式(額縁型)ではなく、オープン形式を採用。
奥行を最大限に生かしたステージだが、上演前の舞台上には舞台美術らしきものは、どちらかといえば少ない。
物語が始まると、役者たちが手にさまざまなものを抱えながら次々と現れ、舞台上に物語の舞台となる町が出来上がっていく。
スキップ役の松尾諭さんを筆頭に、役者が次々と語り手となり、物語を紡ぎはじめると、目の前で大きな絵本のページがめくられ、
お話がはじまったよう。子どもも大人もあっという間に世界に引き込まれていく。
登場人物はさほど多くない。しかし、この物語がどこから来てどこへ向かうかがわからない第一部は、
人物たちの関係性を気にするより、目の前で何が起こっているかをただ眺めるほうがいい。
大人より子どものほうが得意な姿勢といえるかもしれない。
ロージー・グロウを演じるのは映像、舞台で活躍する東野絢香さん。
無邪気で可憐な少女と母になった後のインパクトあるキャラクターを、時に二次元的存在感で演じた。
彼女が車好きのティモシー・アイスと結婚し、授かったのが細田佳央太さん演じるメルセデス・アイス。
映像での活躍が目立つ細田さんは、よく響く声で周囲を振り回すわがままメルセデスを力いっぱい演じた。
そのわがままぶりは、作品の中でなければ「ありえない」という言葉で表現できるかもしれないが、
デフォルメぶりが心地よくもあった。
メルセデスに振り回されるのが同じタワーに住むヒッコリーという少女。
ミュージカルでの活躍めざましい豊原江理佳さんがどこまでも明るく愛らしく演じた。
物語がメルセデスとヒッコリーを中心に進む頃には、何やら不穏な様子も見え隠れする。
この第三部に進んでくると、役者が度々客席に降り立ち動き回る演出も。
世田谷パブリックシアターの舞台機構の特徴でもある鳥屋口を使った演出もあり、観客の目も気も飽きさせない。
鳥やネズミ、クモなど人間以外も度々登場するが、それらを役者が差し金で動かしたり、
羽音を紙袋で表現するなど、古典的な舞台演出をふんだんに入れているのもまた、
演劇の魅力や子どもたちの想像力を刺激する今プロジェクトならではの演出といえそうだ。
物語はフィリップ・リドリーの世界観を存分に感じさせるダークファンタジー的結末でありながら、
絵本を閉じた後の「おしまい」に似て、続きを想像したり、始めに戻ってもう一度読みたい(考えたい)感覚を与えてくれた。
上演後、演出の白井晃さん、ヒッコリー役の豊原江理佳さん、スキップ役の松尾諭さんによるポストトークが行われた。
白井演出作への出演経験も豊富な松尾さんは
「顔がしっかり見える状態の客席に向かって台詞を言うシーンがほとんどなので緊張するし苦行です」と
ユーモアたっぷりに本音を漏らしつつも、ご自身もお子さんがいることもあり、
「お子さんに観てもらうことをしっかり意識して演じています」と語った。
後半は冬服で舞台や客席を走り回るシーンも多い豊原さんは、「こんなに汗をかく舞台は初めてです」と
共演者も観客も意外に感じる感想をポロリ。
物語の象徴でもあるタワーを役者自らが積み上げる演出では、松尾さんから裏話も暴露され、笑いを誘った。
フィリップ・リドリーの作風が大好きだという白井さんが、
作品を観終えたばかりの客席の子どもたちに「こわかった?」とたずねると、「こわくなかった」という答えが集まった。
それを受け、大人と子どもの反応の違いに触れ、「理屈ではなく素直に受け取って観ていただけるのが一番」と、
今作の魅力と子どもたちへの観劇体験のすすめをやさしくメッセージした。
上演後は、舞台上の美術や小道具を近くで見られるように展示し、撮影も可能としている。
どのシーン、どの台詞、どの動きが印象に残ったか?
大人も子どもも関係なく素直な感想を言葉や絵に残したくなるような作品となった。
(取材・文:ライター 栗原晶子)
各回150名限定! 18歳以下のお客様を無料でご招待
夏休みの子どもにも大人にも“心に残る演劇体験”
世田谷パブリックシアターでは2023年8月11日(金・祝)、イギリスの劇作家フィリップ・リドリーの同名児童小説が
原作の白井晃演出作品『メルセデス・アイス MERCEDESICE』が開幕しました。
「せたがやこどもプロジェクト2023」《ステージ編》の一環である本公演は、各回150名(合計1500名)限定で
18歳以下のお客様を無料でご招待(要予約・発券手数料)いたします。
「劇場をもっと開かれた場に」という想い、そして「子どもたちに劇場空間を存分に感じてほしい」という願いを込めて、
リドリー作品ならではのどこか奇妙で不思議な世界へと子どもたちを誘(いざな)いながら、
この夏休みに子どもにも大人にも“心に残る演劇体験”をお届けします。
フィリップ・リドリーの児童小説を白井晃演出で上演!
「いま」を生きる子どもたちのための作品としてリクリエイション
本作はフィリップ・リドリーによる児童小説を原作として、
まつもと市民芸術館を拠点として活動する劇団TCアルプのため、白井が2012年に創作した作品です。
白井はこれまで多くのフィリップ・リドリー作品を手がけており、世田谷パブリックシアターでも
作・フィリップ・リドリー×演出・白井晃のタッグで5作品を上演してきましたが、
「彼の作品に出会った瞬間から、そこに書かれている世界が、頭の中に絵として浮かび上がってきてしまう。」と
自らが語っているように、フィリップ・リドリーは演出家・白井晃がもっとも共鳴する劇作家と言えます。
物語では、街の中心にそびえ立つ巨大なタワー(Shadow Point)を軸に、その街に暮らす3世代にわたる人物たちが、
愛や憎しみ、喜びや悲しみとともに生きる様子が描かれます。
登場するのは近所の魚屋さんやケーキ屋さん、超高層マンションの建設など、どれも身近な事柄ばかりだというのに、
なぜか見たことがない奇妙で幻想的な世界が広がっています。
それでもふと気がつくと、いまの私たちが生きる人生や社会の本質が浮かび上がってくるような不思議な魅力に満ちています。
白井自身「ぜひとももう一度」という気持ちを抱いていたこの作品を、成長著しい若手の俳優たちとともに、
「いま」を生きる子どもたちのための作品としてリクリエイションします。
魅力あふれる旬の俳優たちとともに立ち上げる
新たな『メルセデス・アイス MERCEDES ICE』
主人公メルセデス・アイスを演じるのは、新進気鋭の細田佳央太。
白井演出作品に感銘を受け出演を熱望していたという細田ですが、白井は映像作品で活躍する細田の演技に以前から注目しており、
今回満を持して主人公のメルセデス・アイス役に抜擢しました。メルセデスの幼なじみで純粋な女の子ヒッコリー役には、
舞台を中心に活躍する若手実力派俳優の豊原江理佳。重要な役割を果たすことになるこの役を豊原に託した白井は、
豊原が舞台で発揮するエネルギーと類稀な存在感に期待を寄せています。
メルセデスの母ロージー役は、NHK連続ドラマ小説「おちょやん」でみせた繊細な演技が注目され、
映像作品と舞台作品での活躍がめざましい個性派の若手俳優・東野絢香が演じます。
さらに、若手ながらも舞台のみならず映像作品などでも多く活躍している篠原悠伸、名村辰、大場みなみ、斉藤悠、今泉舞という
演技派の俳優たちが揃いました。そして物語全体を支える影のタワーの作業員(作品全体のナレーター)役を、
白井演出作品への出演経験があり白井が絶大な信頼をおく俳優・松尾諭が演じます。
白井のもとに集結した魅力あふれる旬の俳優たちによって、
子どもも大人も楽しめる新たな『メルセデス・アイス MERCEDES ICE』が立ち上がります。
――“Shadow Point”で生きる 3 世代にわたる家族のおはなし――
メルセデス・アイスは影のタワーのことならなんでも知っている「影のタワーの王子」。
ある日、世界は黒と白の色のない世界に。
おもちゃのロボット、ドールハウス、お菓子やチョコ・・最後に欲しかったのは、「色」でした。
第1部|母ドールと父ハロルドの間に生まれた女の子ロージーと、
母サンドラと父ヨゼフの間に生まれた男の子ティモシーは出会い、
成長します。ロージーとティモシーは“影のタワー”が大好きでした。
第2部|ロージーとティモシーは結婚して大好きな影のタワーに暮らしています。
喧嘩をしたり、太ったり、いつしか毛が薄くなったりしながら暮らす二人。
やがてロージーとティモシーの間に男の子が生まれます。名は、“メルセデス・アイス”。
第3部|時が経ち、影のタワーは汚れて朽ちていきました。
ミセス・アイスはメルセデス・アイスを溺愛し、求めるもの全て与えるようになりました。
メルセデスと隣室に住むヒッコリーは共に成長し、古びたタワーの中で一緒に遊ぶようになりますが、
自分を「影のタワーの王子」だと思っているメルセデスのワガママにヒッコリーは振り回されてしまいます。
ある日、甘やかされたメルセデスを諫めたヒルダとミセス・アイスは仲違いします。
この二組の家族のもめごとが、最後、タワーの大爆発へとつながっていきます…。
◆演出 白井晃
敬愛するフィリップ・リドリーの『メルセデス・アイス』を、キャスト・スタッフの力を合わせて、
舞台化することが出来たことを本当に嬉しく思っています。やはり、この世界観はリドリーにしか作れない独自のものです。
若い俳優の皆さんと一緒に、試行錯誤しながら創作した時間は、私にとって宝石のようなものでした。
そして、子どもたちがどんな反応をしてくれるのか、とても楽しみでもありました。
面白いのか、つまらないのか、楽しいのか、怖いのか、どんな感想を持ってくれても良いのです。
劇場を去る時、にやにやしている子どもたちの顔を見て、私はとても幸福な気持ちになりました。
この劇場での体験が、子どもたちの脳裏に焼き付いて、素敵な記憶に繋がることを心から願っています。
◆メルセデス・アイス役 細田佳央太
舞台『メルセデス・アイス』初日が無事終わりました。ご来場くださった皆様、本当にありがとうございました。
終演し有難いことに拍手をいただいたのですが、僕自身、板の上から拍手を浴びるのが初めてで。
じんわりと温かい気持ちになったのですが、思ったほど「達成感」はなくて。
でもそれはこの舞台、この作品がこれから始まるからこそなのかなと。
『メルセデス・アイス』チームと、来てくださる皆様と、もっともっとより良い作品にしていけたらと思います。
引き続き、宜しくお願いします。達成感の拍手、浴びたいなぁ。
◆ヒッコリー役 豊原江理佳
『メルセデス・アイス』の幕が開きました。お子様から大人の方々まで、どの世代の人たちにも心で感じていただける
メッセージがたくさん散りばめられた作品だと実感しています!!
心と体をめいっぱい使って、メルセデス・アイスの世界をお届けします。
ドキドキ、ワクワク、切ない、勇気が湧いてくる…ぜひ劇場で体験してください!
◆ロージー・グロウ役 東野絢香
まずは座組の全員で、無事に初日を迎えることが出来た事、とても嬉しく思います。
「まるで絵本を子どもに読み聞かせるかのように」と白井さんが稽古場でおっしゃっていたように、
稽古を重ねて大人達がどんどん真面目にふざけ始めて、なんだかとっても可笑しく愛おしい作品になりました。
“小さな”お客様から“大きな”お客様まで、みんなで童心にかえって、劇場という空間を楽しく共有出来たら嬉しいです。
是非、お待ちしております。
◆スキップ役 松尾諭
大人がつくった子どものための舞台なので、お子さんは一人の登場人物として物語を観ていただけると、
終演後のおまけがより一層おもしろくなる、かもしれません。
大人の方々も自身の子どもだった頃、また子どもに対する価値観と照らし合わせながらご覧いただけると、
作品をより一層楽しめるかと思います。是非劇場にて、五感を刺激しにいらしてください。
せたがやこどもプロジェクト 2023《ステージ編》
『メルセデス・アイス MERCEDESICE』
【原作】フィリップ・リドリー
【翻訳】小宮山智津子
【演出】白井晃
【出演】細田佳央太 豊原江理佳 東野絢香
篠原悠伸 名村辰 大場みなみ 斉藤悠 今泉舞
松尾諭
【美術】伊藤雅子 【照明】齋藤茂男 【音響】井上正弘
【衣裳】髙木阿友子 【ヘアメイク】川端富生
【演出助手】河合範子 【舞台監督】川口眞人、橋本加奈子
【プロデューサー】大下玲美
【世田谷パブリックシアター芸術監督】白井晃
【宣伝美術】タカハシデザイン室 【宣伝写真】二石友希
【宣伝スタイリスト】髙木阿友子 【宣伝ヘアメイク】川端富生
【日程】2023年8月11日(金・祝)~20日(日) 全10回
【会場】世田谷パブリックシアター
【チケット料金】(全席指定・税込)一般:8,000 円
18 歳以下
(各回150枚限定/先着順/要予約・発券手数料(110円)/当日要身分証明書)
【チケット取扱い】世田谷パブリックシアターチケットセンター
03-5432-1515 (10:00~19:00)
【主催】公益財団法人せたがや文化財団
【企画制作】世田谷パブリックシアター
【後援】世田谷区
https://setagaya-pt.jp/stage/1892/
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