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富山から創造発信「オーバード・ホール名作ミュージカル上演シリーズ」第6弾
剣 幸さん『ME AND MY GIRL(ミー&マイガール)』合同インタビューが行なわれました
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富山から創造発信 『ME AND MY GIRL(ミー&マイガール)』公開稽古
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―――『ミー&マイガール』という作品は剣さんにとって思い入れの強い作品のひとつなのではないかと思います。
2013年(前回)オーバード・ホールで上演した時には、宝塚初演から26年を経て再びビルという役に挑み、
どのようなことを感じましたか?新たな発見はありましたか?
新たな発見ばかりだったような気がします。26年経って同じ役を演じたビルは、
宝塚の中でも相当な体力のいる役でしたし、26年経って同じ役をちゃんとできるのか、
普通のお芝居の中で自分が男性として成立するのかという不安はありましたので、いろんな気持ちが混じっていました。
でも、稽古を進めていく中で、その不安が違うものに変わっていきました。宝塚時代とは周りの方も違いますし、
台本や演出も違います。(これまで)20何年の間に様々な作品で経験を積み上げてきたことで、
(当時は)青かったなということに気付きました。笑ってもらわなくちゃ、楽しくしなきゃ、
というプレッシャーの中で作り上げていた20何年前と違って、人間としてこの人自身が面白いから周囲が笑うと
気づいて肩の力が抜けました。それに、宝塚の頃と同じような身体のキレも体力もないですし、
同じようにやるのではなく、逆にこの年だからできることをやれればいいなと、稽古半ばで感じました。
新たな発見をたくさんしたような気がします。
―――先日『Super Gift!』でも『ミー&マイガール』の再現がありましたが、それを経ての上演ですね。
『Super Gift!』は芝居というより、ランベスバレエの再現という感じでした。
宝塚時代は群舞の時に綺麗に踊らなきゃ、カッコよく踊らなきゃということをずっと考えていましたが、
『Super Gift!』の時はみみ(サリー役/こだま愛)も経験を経たサリーになっていましたから、
大人になった感覚で、見せ方というよりも2人で何かを共有して作るということを心がけました。
―――改めて『ミー&マイガール』のビルという役をどう捉えていますか。
自分が26年前に上演が決まり、ロンドンとニューヨークで観た時に、何分かに一回みんながゲラゲラ笑っているんですよ。
英語だったので、なぜそんなに笑っているのか細かいところは分かりませんでしたが、
とにかくお客様に笑っていただかなきゃという気持ちが残りました。どうやったら笑っていただけるのかな?と。
26年経ち、ビルは言葉遊びを楽しんでいるだけで、笑わせようと思ってやっているんじゃないんだ、
周りがどうであろうと、本人が楽しんでいるんだと。そのパワーが周りに伝わり、巻き込んでいって
最終的には自分のペースに持っていくということですよね。ビルはものすごくパワーがいる役です。
役者同士だけでなく、お客様も巻き込んで行くわけですから、どれだけ体力がいるの???(笑)という役ですよね。
―――今回、再演が決まった時、どう思われましたか?
うそっ?!と(笑)。2年前もこれが最後だと思って、死んでもいいや、倒れてもいいや、
というほど精魂込めて自分が大好きだった役を演じました。もちろん完璧に出来たとは思っていませんが、
これで一区切りついたなと思っていたので、「う、うそっ?!もう一回ですか?!」というのが正直なところでした(笑)。
でも、こんなにありがたいことはないですし、やり残したことはたくさんありますし、
こういう機会を与えていただけたのであれば、役者冥利に尽きます。ただ体力がついていくかという心配はあります(笑)。
―――セリフは蘇りますか?
今回、なかなか蘇りませんね(笑)。実は『Super Gift!』では宝塚版の歌詞だったので、
そちらが蘇ってきてしまうんです。でもやっていることや気持ちはすぐに蘇ります。
―――今回意識していること、新たにやりたいことは?
今回は少しそぎ落とせるところはそぎ落としていきたいなと。たたせなければいけないところがたつんじゃないかなと。
整理してストレートにみなさんに伝わればいいかなと思います。今の年齢だからこそ考えられることを、
ビルに吹き込んでいきたいですね。
―――このカンパニーのみなさんと稽古をする中で、発見は?
芝居って相手があってこそキャッチボールが出来ます。久美ちゃん(サリー役/野田久美子)も
この2年間での経験がありますから、彼女の中で何かが育っているなと思いました。
だから新たなビルとサリーの感覚が生まれて来るだろうなという感じがしています。宝田明さんのジョン卿もすばらしく、
ビルとジョン卿はどこかで分かりあっている役なので、芝居の中ですごくそのことを共有して下さいます。
宝田さんがいらっしゃるから私が若造に見えるというのもあります。(中尾)ミエさんのマリアに関しては、
やっぱり血が繋がっているマリアおばさんと分かち合えるシーンが大好きです。ミエさんのハート、
生き方も垣間見えて素敵です。他の方も、同じ役を演じるにしてもそれぞれがこの作品に新たに取り組んで、
一歩も二歩も進もうとしていています。こういうことをやっていこうか、とディスカッションしながらやっています。
2年離れていたけどすぐにファミリーになれます。
―――新作と再演の気持ちは違いますか?
気持ちは変わりません。新作を作る時はドキドキ感とプレッシャーがありますが、
誰も手を付けていないところから作る面白さやワクワク感の方が強いような気がします。
再演は1回やったものを崩して組み立てる、もっと良くならなければいけないというもとでの再演なので、
前回を越えるにはどうしたらいいかというプレッシャーがあります。そういう意味ではどちらもプレッシャーはありますが、
その方向性が少し違います。再演の方が難しいなとは感じます。一度やっただけに、
それを練り直すのはひとりでは出来ないですから。そこが楽しくもあり難しくもありです。
―――今回、富山での再演となりますが、富山ならではの魅力は?
2年前の時もそうですが、ものすごく贅沢に時間と場所を使ってやらせてもらえるので、
安心して練り上げたものをお届け出来ます。富山の方々は、ミュージカルに対してものすごくピュアで
新鮮な見方をして下さいます。一緒に何かを楽しもうと思って下さる気持ちを感じますし、
(劇場にも)優しく温かい空気が流れているんです。
―――東京でやる舞台と違う感覚ですか?
この作品だから余計そのことを感じるのかもしれません。地位や名誉ではなく、
何が一番幸せかが分かっている男性の話なので、その部分が温かく伝わればいいのではないかなと思います。
きっちりとテーマが流れています。それが伝わらないとギャグの言い合いみたいになってしまうかなとも思うので、
そこは気を付けないといけないなと。
―――剣さんは富山出身ということで、富山の人の魅力はどういうところにあると思われますか?
ひとことで言うと真面目です。真面目すぎちゃうかなと思う位です。自分のアピール力よりは、
こつこつと地道な活動をする方が多いです。ひとつのことを一生懸命やるのが富山県人に表れているなと思います。
このシリーズが始まり、富山から参加している方々もモチベーションもやることもどんどん上達して
舞台が好きになっているのが分かります。それだけ努力しているのが見えるんです。
そう言う姿を観ていると嬉しくなります。
―――北陸新幹線も通って他の県からも来やすくなりますね。
そうですね。このシリーズは、地方ならではのやり方で作っています。時間をかけてちゃんと贅沢に練り上げ、
本当はこうあるべき、ミュージカルはかくあるべきというスタイルをひとつ確立出来たかなと思います。
東京や大阪発でなくても、こうして地方でしっかりと作り上げればいいものが出来る。このシリーズ、
私は成功したと思っています。『ハロー・ドーリー!』も東京で公演させてもらいましたし、
この活動は地方からも注目を集めていると思います。いろんな県から「その場所から発信するもの」が出てくると
望ましいと思います。『ミー&マイガール』をご覧になって、これだけのことが出来るよというのを
感じていただけたらいいなと思います。
―――このシリーズがこれで一区切りということで、
それはもったいないなと思いますが、どのように感じていますか?
これからはこれほど大きなミュージカルは出来ないかもしれませんが、何らかの形で繋げていくのが我々の使命かなと。
私に何が出来るか分かりませんし、小さな力かもしれませんが、せっかくここまで育ったものを終わらせることは
もったいないので、今後どうやっていくのか、皆さんと相談していきたいです。
富山のみなさまにも関心を寄せていただいているので、何かしらの形で続けていきたいですし、
続かせなければいけないと思っています。
―――東京でやることとの違いは?
大きな違いはあまりないのかもしれませんが、オーバード・ホールという素晴らしい劇場を使ったミュージカルが
観られるというのは大きいです。時間をかけて練り上げた作品を作っている、
それをご覧いただくというのは自信を持ってお届けしたいことです。
―――富山のおすすめは。
富山県の中にいろんな場所があります。秋ならば宇奈月や黒部峡谷、冬には氷見の方に行ってブリを食べ、
大牧温泉もありますし。3月の終わり頃にはほたるいか、雪の大谷は5月~6月と、1回で全てが出来る訳ではないですし、
季節を通していろいろな見所があるので、年間を通して何度も遊びに来ていただきたいですね。
本当はそれに合わせたタイミングでミュージカルが上演出来るといいんですけどね。
―――今回で第6弾となるシリーズ全作品に出演し、回を重ねるごとに認知度も高まっているのも
感じていらっしゃるのではないかと思いますが、このシリーズを通して剣さんが得たもの、
感じたことはどのようなことでしょうか。
富山県人でよかったな、というのがまず一つありますね(笑)。
それと、やろうとする方向性が同じ人がこれだけ集まると、こんなにすごいものができるんだという
手ごたえを強く感じました。年々、認知度が高まって、3年目4年目あたりには、富山ですごいことやっているんだってね
という話を仲間から聞かれるようになり、今では東京で一緒にミュージカルの舞台に立っていた仲間が
オーディションを受けに来てくれました…これは私自身本当にビックリしました。役者って、いいものをやりたい、
こういうことがやりたいということが大事で、場所は選ばないんですよね。特に富山では時間をかけてちゃんと作っている
というのが広まっていました。だからこそ、そういう仲間が「参加したい」と思って下さったんだと思います。
「もうやらないの?もう終わりなの?」という声もたくさんいただいています。
まじめにちゃんとひとつのものを作ろうとするときの大きな力を今回改めて感じました。これはすごいことなんだなと。
―――出身地の富山での活動にずっと携わってきて感じていることは。
本当に幸せだったなと思います。第1回目の『回転木馬』でお声がけをいただけた時、役名も訊かずに
「はい、出させて頂きます」って返事しました(笑)。それまで富山でラジオやイベントでのお仕事はありましたが、
昔は大きな劇場がなかったので宝塚時代から富山を飛び越えて全国を回っていましたし、接点はあまりなかったというか、
富山の人々と一緒に深く関わるということがあまりなかったんです。ですから、このお話をいただいた時に、
富山の人たちと何かが出来る、今までできなかったことが出来る、そこから何かが生まれて来る!と・・・
とても嬉しかったです。まさかシリーズ全作品に出演させてもらえるとは思いもしなかったのですが、
こうして富山の人たちともいろいろなものを作り上げていけたことは本当に幸せでした。
―――宝塚殿堂入りおめでとうございます。富山での活動を始め、
いろんなことが評価されての殿堂入りとなったのではないですか。
私が殿堂?!と、驚きました。今までのすごい方々が入っていらっしゃる中に入れていただけて
身に余る光栄だなと思っております。今まで以上に宝塚出身ということを背中に感じながらやっていかないといけないな、
とは思っております。
―――次はどんな作品に出てみたいなど、夢を教えてください。
具体的にはないですね。年齢の話をするのもあれですが・・・(笑)、還暦を過ぎたあたりから、
ずっとこういう感覚で舞台を続けていけることが一番幸せだと思うようになったんです。
もちろん、こんな歌が歌いたい、こんな役をやりたいというのはありますが、それよりも自分が健康で、
人に感動を与えられるような作品にめぐり合えることが、一番私の人生の中で幸せなことだなと思っています。
コンスタントに舞台を続けられて、その間に自分の別の表現としてのコンサートがあって、というように
楽しく過ごせれば嬉しいですね。その年齢に合ったものをやっていけれたら、と思います。
―――最後に、この公演に向けての意気込みをお願いします。
2年ぶりの再演、もう一度ビルに会えるとは思ってもいなかったので、大きなプレゼントをいただいたような気持ちです。
とてもハートウォーミングで、笑って笑って最後にちょっとホロっとする、誰も悪い人が出てこないみんなが
ハッピーなミュージカルです。会場で皆さんもハッピーになっていただけたら嬉しいです。ぜひいらして下さい。
「オーバード・ホール名作ミュージカル上演シリーズ」第6弾
『ME AND MY GIRL(ミー&マイガール)』
演出:本間憲一
振付/演出協力:ロジャー・カステヤーノ
プロデューサー:奈木隆
日程:2015年11月12日~11月15日
会場:オーバード・ホール(富山駅北口正面)
http://www.aubade.or.jp/static/special/mamg2/
情報は書き込んだ時点のものですので、実際の内容と異なる場合があります。
あらかじめご了承下さい。