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株式会社スタジオアルタ 田沼和俊社長インタビュー 2017年05月

(2017年05月26日記載)

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株式会社スタジオアルタ 田沼和俊社長インタビュー
オルタナティブシアターこけら落とし公演『アラタ~ALATA~』7月7日開幕

 

株式会社スタジオアルタ 田沼和俊社長インタビュー
( 2017年5月22日 取材・撮影・文:住川絵理 )

株式会社スタジオアルタはこれまで、「笑っていいとも!」を始めとする
テレビスタジオ運営や番組制作を中心とした業務形態を行なってきましたが、
新しいメディアとエンターテインメントビジネスの事業会社へと生まれ変わります。新事業の核となるのが、
オルタナティブシアター(Alternative Theatre)462 席(立ち見 52 席を含む)の
運営、コンテンツ製作となります。
劇場名のオルタナティブは、既存にとらわれないという意味で、アルタの社名の語源です。

オルタナティブシアターが出来る場所は伝説の日劇の跡地、有楽町マリオンビル内の7階。
外国人の客層も視野に入れ、誰もが楽しめる日本のエンターテインメントの創造発信を目指します。

先日、オルタナティブシアターこけら落とし公演として、
2020年の「トーキョー」を舞台に繰り広げる、タイムスリップチャンバラパフォーマンスショー
『アラタ~ALATA~』が上演されることが発表されました。

オルタナティブシアターのこと、作品のこと、これからの展望について
田沼社長にお話をうかがいました。

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◆オルタナティブシアター誕生の経緯


―――スタジオアルタが新たな劇場を創ろうと思われた経緯をお聞かせ下さい。

皆様にとってスタジオアルタは、「笑っていいとも!」を収録していたテレビスタジオという
印象が強いのではないかと思います。この番組が30年以上続いていたこと自体がイレギュラーなケースでした。
2016年3月、この番組が終了したことから、テレビスタジオとしてではなく
新たなビジネスを立ち上げていこうということになりました。
これまでの経験から自分たちの場所を持つということは非常に大きな意味があると感じておりましたので、
どこか新たな場所を探してエンターテインメントを発信出来る環境を創ろうという話になりました。

―――たくさんのエンターテインメントがある中で、劇場運営に目を向けたのは?

2020年東京オリンピック・パラリンピック開催に向けて市場は大きく動き出していましたから、
海外からのお客様にも楽しんで頂ける新しいサービスを提供しようということになりました。
我々も色々とリサーチしましたが、都心のナイトライフでは六本木のショーパブや、
歌舞伎町のレストランなど、お酒を楽しみながら本格的なパフォーマンスを
提供しているエンターテインメント設備を学びました。
我々も、自分たちの劇場・場を持って、パフォーマンスをサービスとして提供する、
そういう場所を目指したいと思いました。

―――ちょうどスタジオアルタが劇場運営に目を向けたタイミングと、
都内の劇場やコンサートホールが閉鎖や改修で足りなくなるという問題が重なったのですね。


まさにそうですね。「2016年問題」と呼ばれるこの出来事は、著名人、文化人の方々が
様々な形で意見を発信していたことからも、注目度の高い問題だと思います。
このタイミングは、我々の親会社(株式会社三越伊勢丹)を始め様々な面で、
劇場を新設することに対し後押しを受けることに繋がりました。物件も様々な可能性を考えて探しました。


◆日本のブロードウェイと呼ばれる場所、日劇跡地に


―――そこで辿り着いたのが、日劇があった場所、有楽町マリオン内だったのですね。

まず、銀行系や不動産系の方に色々な調査をお願いしました。
その頃、ある方が紹介して下さり、この場所に決めることが出来ました。
非常にいいタイミングで巡り合いました。オルタナティブシアターが出来るこの場所は映画館の跡地です。
このプロジェクトは、巡り合った方が新たな方を紹介して下さる、その素晴らしい連鎖から生まれています。
企画が止まる時は止まってから動き出すまでに時間がかかり大きな労力が必要になりますが、
今回のケースは非常に速いスピードで進んでいっています。これは大きな自信に繋がっております。

―――日本のブロードウェイとも呼ばれるような場所ですから、最高の立地ですね。

ありがたいことに最高の立地ですね。有楽町周辺は、日比谷、新橋、銀座、汐留にも大きな劇場がたくさんあります。
この場所には歌舞伎や宝塚歌劇など、専用劇場として成功している例がいくつもあります。
この場所に来るということであれば、文化度を上げた作品を提供しなければいけないなという思いが強まりました。

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◆オルタナティブシアターの特色


―――オルタナティブシアターの特色は。

劇場を持つということと、こけら落とし公演を長い期間をかけて育てていきたいという2つの特色があります。

劇場に関して言うと、生身の人間がきちんとパフォーマンス出来て、
それがうまく伝わる場所にしたいなと思っています。演出効果として、プロジェクターからの映像映写や、
天井に仕掛けたLEDの効果、(すぐに利用できるのは2Dワイヤーですが)3Dワイヤーの躯体設置などで、
今後も様々なことに対応しうるものになっています。

こけら落とし公演『アラタ~ALATA~』というオリジナル作品の創造に関しては、
クリエイターの方たちにお任せしております。こちらからの要望としては言葉の壁を超えた
エンターテインメントにしたいということと、日本人が観ても価格と価値が合っているな、
それ以上の体験をしたなと思って頂けるものにしたいということです。今、そこを目指しています。


◆こけら落とし公演『アラタ~ALATA~』


―――劇場を箱貸しするのではなく、作品を制作するところまで取り組まれるというのは、
どのような思いからなのでしょうか。


事業経営者として考えますと、借りたいという方に貸し出すケースの方が安定的な収入を得られます。
テレビスタジオとしてのスタジオアルタはこの形でした。色々な方と話をする中で、
まずは自分たちで作品を創って発信していこうというところに辿り着きました。
10年という長いスパンで考えますと、オリジナルもあれば、コラボレーションもあるし、
この場所で提供出来るものがあればミックスしていくという可能性もございます。
しかし、まずは自分たちのオリジナル作品を定着させたいという思いです。

―――こけら落とし公演として『アラタ~ALATA~』を上演することになった経緯は。

社内にはテレビの番組を創っていたメンバーもいますので、コンテンツを創る上でいろんな意見を交わしました。
その時には、世界的に有名な作家やキャラクターを持つべきではないかという話も出ましたし、
アニメ系に目を向けていた時期もありました。日本の昔話を題材にしたらどうかという意見もありました。
そういう話を経て、どういう形にするにせよ、しかるべき段階になったらクリエイターの方たちに
バトンを渡してお任せするべきだと考えておりましたので、構成・演出の岡村俊一さん、脚本の横内謙介さん、
ダンスクリエイターのElinaさんらに入って頂き、話を進めていきました。
岡村さんは、つかこうへいさんの芝居の演出を長年なさっていますが、近年は若い世代の方たちと
一緒に作品を創り上げています。50代の岡村さんと次世代の若者が作品を創り上げていく姿をずっと見ていたので、
今回もそういう形で出来たら面白いものが生まれるだろうなと思いました。

―――劇場を創る際、もしくは作品を創る上で、参考にしたものはございますか?

六本木でロングランを行なっていたBLUE MAN GROUPの公演や、
京都の専用劇場でロングラン公演中の『ギア-GEAR-』、韓国の『NANTA』、
渋谷で上演されていた『マッスルミュージカル』など魅力的なコンテンツが多く、勉強しました。
これまでのコンテンツから学びながら新しい価値を創造していければと思います。
『アラタ~ALATA~』は言葉、セリフこそ制限されていますが、これはお芝居です。
横内さんは「王道のものにしよう」ということで、人の出会いや情け、人間の成長という普遍的なものを
描いた脚本を仕上げて下さいました。それをもとに岡村さんやElinaさん、出演者の方たちによって
少しずつ創り上げられています。やっていくうちに「これはノンバーバルというよりは新しいジャンルだな」と
感じるので、それに合う言葉を探して発信していくべきではないかと考えます。

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◆海外のお客様にも目を向けて


―――海外のお客様を迎えるにあたり、営業面での工夫は。

旅行代理店の方にヒアリングしたところ、都心で夜遊ぶコンテンツが不足しているという意見がありました。
旅行代理店の方やホテルのコンシェルジュの方々、メディアの方にもご協力頂き、
海外からのお客様にも楽しめるようにと考えておりますが、まずは日本のお客様、
日本に住んでいらっしゃる外国人の方に観て頂きたいと思っております。満足して頂けるものを自信をもって
提供し続ければ、その輪が広がっていくと考えます。英語のチラシも、まもなく配布が始まります。
どうやったら多くの方に興味を持っていただけるか、模索しているところです。

―――ラスベガスにコンテンツを輸出することも視野に入れているそうですね。

ノンバーバルなコンテンツをオリジナルとして創るという話になった時点で、
海外にも出ていくべきなのではないかという話が挙がりました。

―――少し話は変わりますが、田沼社長が普段心がけていること、大切になさっていることは?

自分の生活は置いといての話になりますが(笑)、社員によく言うのは、ステップバイステップで
少しずつ階段を上がるのではなく、ここまで登りたいんだという場所を高いところに置いてそこから
逆算してシナリオを描いていくように、ということです。
売り上げを年々、5パーセントずつ上げるという発想でいくと、突然周りで何かがあった時にガラリと状況が
変わってしまいます。色々なことが起こりうる時代だからこそ、こういう状態になりたいなということを
強くイメージして、様々な登り方の中からどの道を選ぶかが大事だと思います。

―――『アラタ~ALATA~』は「日本の心」「日本のあるべき姿」を
作品を通じて伝えていきたいというのが、コンセプトになっていますね。


我々も新たなスタジオアルタとして生まれ変わっていきます。生まれ変わる上で、
これまでの普遍的な良さは残し、変化に対応していく力を持たなければならない、
このコンセプトが作品に重ねられるといいかなと思いますし、そういうコンテンツになるよう期待しています。
ロングラン公演として、日々成長していくようなものになればと思っています。

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オルタナティブシアターこけら落とし公演

『アラタ~ALATA~』

 

2017年7月7日(金)~ ロングラン公演

会場:オルタナティブシアター(Alternative Theatre)

東京都千代田区有楽町2丁目5番1号 有楽町センタービル(有楽町マリオン)7F

 

作:横内 謙介

構成・演出:岡村 俊一

音楽:Mili

 

チケット発売中

 

主催:株式会社スタジオアルタ

制作協力:アール・ユー・ピー

 

公式サイト

 

 

 
 

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