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『蘭〜緒方洪庵 浪華の事件帳〜』 藤山扇治郎さん、北翔海莉さんインタビュー 2019年05月

(2019年05月05日記載)

『エンタメ ターミナル』では舞台を中心としたエンターテインメント関連情報をWEB記事として発信しています。
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藤山扇治郎・北翔海莉
『蘭〜緒方洪庵 浪華の事件帳〜』製作発表会見

関連記事→藤山扇治郎・北翔海莉『蘭〜緒方洪庵 浪華の事件帳〜』製作発表会見

公演について(リリースより)

藤山扇治郎・北翔海莉の話題作『蘭〜緒方洪庵 浪華の事件帳〜』の再演が決定しました。
同作は、築山桂原作による『禁書売り』『北前船始末』(双葉文庫刊)をもとに、
若き日の緒方洪庵と在天の姫・東儀左近、別世界に生きる二人がともに大坂の町を守るために奔走し、
成長していく物語です。
昨年5月の大阪松竹座・新橋演舞場公演で人気を博した本公演は、
今年8月の埼玉公演を皮切りに、東は岩手・宮城・千葉・東京、
西は神戸・熊本・鹿児島・愛知・石川・岡山・大阪と、日本各地を訪れる巡業公演として再演します。
若き日の緒方洪庵・緒方章役には、連続テレビ小説に出演するなど活躍が目覚ましい藤山扇治郎、
左近役に元宝塚トップスターの北翔海莉。昨年に引き続き共演に石倉三郎、久本雅美。
さらに新たな顔ぶれが加わり、さまざまなジャンルで活躍中の俳優陣が揃いました。
そして脚本は松田健次、演出は錦織一清が昨年同様に勤めます。
多彩なエンタメ性に溢れた痛快娯楽時代劇に、どうぞご期待ください。

藤山扇治郎さん、北翔海莉さんインタビュー
(2019年3月8日 取材・撮影・文:住川禾乙里)


―――それぞれの役について教えてください。 


◆藤山扇治郎
緒方洪庵の青年時代である“緒方章”を演じます。前半は石倉三郎さんが演じる師匠である思々斎塾主宰 中天游の元で
蘭学の塾に通っているのですが、そこで事件が起きます。緒方洪庵は蘭学を学ばれた方ですが、この作品は、
医療の話ではありません。自分は医者ではあるが人を救うのは医者だけではなく、どのような仕事の人でも、
色々な局面で人を救っているというテーマがあるので、人を支える、助けるというのは大事だということが描かれている作品です。
歴史上の人物である緒方洪庵は江戸時代の方なので、自分が思う緒方洪庵像をお芝居で表現できればいいなと思っています。
巡業で、しかも再演という形で演じさせていただくことも、多くの方々に観ていただける機会になりますので、
本当にありがたいと思っています。

◆北翔 海莉
私は大阪の観光案内をしている“お佐枝”という役と大阪の治安を守る在天別流“東儀左近”という、
昼と夜の顔が違う役を演じさせていただきます。大阪を守るというのが第一の仕事で、どの時代でも良いもの、
悪いものがある世の中ですから、そういったものをきちんと捌いていく人であり、不仲を和解させていくという役です。
女でありながら自分の宿命みたいなものを背負っている人間なので、甲冑を着け頑張ってきたけれど、
緒方章と出会うことによって本来の女性である弱さみたいなものがポロッと出てきてしまう。
そういう、ちょっと甘い部分も見せていけたらと思っています。

―――前回演じてみて難しかったところと、今回こうやりたいなと思う部分はありますか?

◆藤山扇治郎
セリフ量が多くてテンポも早いです。普通のお芝居と違うところは説明することが多いので、そこに緩急をつけて、
きちんとお客様に伝えられるようにしたいと思います。あとは若さですね、青年役ですから(笑)。
僕が在籍している松竹新喜劇もそうですが、今までも自分と同じくらいの年齢の役を演じたことがあまり無いんですよ。
例えば、青年の役でも40歳くらいの人が演じていたり、時代劇の中で、大工で50歳くらいの役を20代の子が演じたり…。
先輩方がやってきた作品を自分たち(の世代)が演じることが多いので、どうしてもお手本が自分より年齢が上の方になります。
今回のお芝居に関しては自分が作っていかなくてはと思うのですが、こういったお芝居では自分の持ち味や若さを
出していかないと…と思っています。今年32歳になりましたが、同級生に会っても「やっぱりおじさんぽいところあるな~」と
自分でも思うので、このお芝居を機に青年に見えるようにしなくては(笑)。
それに蘭学を学び医者を目指す人物に見えなくてはいけません。そういったところを大事にしたいと思います。

◆北翔 海莉
お芝居や歌は、もちろん難しいのですが、この作品で初めて雅楽をやらせていただきました。
雅楽装束というボリュームのあるお衣裳で、天に届くように、天に向かって舞を舞うので、
根本的な魂の部分が一番難しいところだなと思いましたね。ただ教えてもらった振りをそのまま踊るのではなくて、
雅楽の持つ意味というものをきちんと自分で理解して舞うということ。オープニングなので、
自分の舞楽に対する魂の込め方によって、この作品が左右される責任がある場面。
そういった意味では、すごくプレッシャーもありましたし難しかったなと思います。

―――今回は巡業公演で再演ということになりますが、決まった時の気持ちは?

◆藤山扇治郎
初演でたくさんのお客様に観に来ていただいたからこそ再演させていただけるわけで、とても嬉しかったですね。
今回は初演と違うキャストも入るので、同じ作品でもキャストが変わると雰囲気も変わると思います。
舞台は、たくさんのお客様が入ったから良い作品なのかというと、そうではないと思うんです。
でも、お客様が入らないと成り立たない。一人でも多くの方に観に来ていただきたいですね。
そういう意味でも初演が素晴らしいキャストやスタッフの方々に支えていただいたから再演させていただけるのだと思います。
個人的には、再演で初めてわかることがあると思うので楽しみですね。あとはお客様がどのように感じてくださるのか。
やはり再演している作品ほど僕は良い作品だと思うし、それが名作になっていくのだと思います。

―――会見の時に北翔さんは、再演はありがたい部分もあるけれど、
怖い部分もあるとおっしゃっていましたが?


◆北翔 海莉
何でもそうだと思うのですが、お客様が最初に観たイメージって美化されるものなので、
それをさらに覆すようなレベルに持っていかないといけません。
「え?こんなんじゃなかったよね?」という風になると悔しいので!
色々な事情で都内の劇場に足を運べないお客様っていらっしゃると思うので、
そういう方達がいる場所へ行く再演になったというのは本当にありがたいですね。

―――宝塚歌劇団在団中は全国ツアー公演でまわることはあったと思いますが、
お芝居として回られるということでの期待というか何か楽しみはありますか?


◆北翔 海莉
歌劇団にいた時とあまり変わらない環境ではあるのですが、共演者が個性的でユニークな方々ばかり。
稽古場や楽屋、舞台袖でも笑いが絶えなかったので、地方に行ったら舞台以外でも
楽しい時間を過ごすことができるんじゃないかと思います。

―――会見でお互いに尊敬できる部分があるとコメントもされていましたが、
「役者としてここがすごい!」というお互いのPRをしていただけますか?


◆藤山扇治郎
僕は松竹新喜劇という劇団にいますが、北翔は100年以上続く宝塚歌劇団でトップスターとしてやってきたので、
本人は“私にしかできない”役をやるときが一番嬉しく、そこを大事にされている方だと思うんです。
「この役はやっぱり北翔さんじゃないとできないよね」と言われるくらい力を持っている役者さんだと思います。
今のお芝居で本当にお客様に感動してもらえるのか?と常に考えている方。だからこそ型や枠にとらわれない
改革者のような部分も持ち合わせているように思います。だからこそ外に出て様々な作品に触れた時に、
より“私にしかできない”ものを!ということに情熱を持っているんじゃないと思います。
根本的な考え方が違うんだと思います。僕の二代目、三代目みたいな人はどんどん出てくると思います。
でも、そのためには僕が立派な役者になって頑張らないといけないと思っています。
でも北翔さんみたいな人は、なかなか出てこないと思うんです。そこが芸能世界の難しいところであり、
すごいところなんです。(北翔さんを見ながら)次に違う人が東儀左近役をやったら、
あんまり嬉しくないと思いますよ(笑)。

◆北翔 海莉
いや~そうかな(笑)。

◆藤山扇治郎
その人が自分より良かったって言われたら…。

◆北翔 海莉
そしたら、また奮い立たせる!

◆藤山扇治郎
やっぱりそこがすごいところだと思うんですよね。なかなかできませんよ。

―――今のお話を聞いていかがですか?

◆北翔 海莉
役者ってゴールがないと思うので、自分を越える存在があるというのは逆にありがたいことですね。
昨年、扇治郎さんと共演させていただいて、やっぱりこの方が持つ華やかさや登場した時に
「出たな~」と思う雰囲気(笑)。一緒にやる共演者が舞台上でほっこりさせられるという部分も
素晴らしいところだなと思います。(扇治郎さんを見て)32歳になられましたけど、
どちらかというと小柄な方なのに、すごいエネルギーなんですよ。
そのエネルギーはどこから来るのかな?といつも思います。それは朝早くから夜遅くまでひたすら稽古をしていて、
舞台で爆発させる火薬みたいなものをいっぱい蓄えているんじゃないかなと思うので、
そういうところは見習っていきたいと思いますし尊敬している部分ですね。

―――今後二人でやってみたいことは何かありますか?

◆藤山扇治郎
ご飯を食べないと死にますし、裸で外は歩けない。でも、舞台は観なくても死なない。無くても生きるのに困らないですよね。
これは娯楽なので、普段生活している中で「お芝居が観たいな」と思った時に(公演によっては)10,000円以上する
チケットを購入していただく。10,000円って、決して安くは無いじゃないですか。その金額を出したら相当いいものを
食べられますし、スーパーで買い物をしたらたくさん買える。その時間とお金を費やして観に来てくださっているので、
申し訳ない仕事をしているなって思っているんです。この仕事って、あっても無くてもいい仕事だなって。
お客様の入場料で衣裳が着られて、立派な舞台に立たせてもらって。良いお芝居をやらせていただくというのは当たり前
なのですが、世の中に貢献できているのかなと思ったら、やっぱり普通の仕事をしている人よりも貢献できていないと思います。
祖父は60歳で亡くなっていますが、人のためにすぐに行動する人でした。今でも祖父の話を聞くことが多いんですよね。
それはやっぱり人のために色々と尽力してきた人だからなのだと思います。
そういう意味では、二人で何か世の中に貢献できたら良いなと思います。

◆北翔 海莉
自分自身も老人ホームを回らせていただいていますが、
扇治郎さんと一緒になる時に「この世の中の人たちの心を救って温めてあげられるようなことを、
みっちゃん(北翔さんの愛称)と一緒にしたい」というプロポーズの言葉を聞いて、
自分がステージに立つ意味として常にそのテーマが心の中にあったので、その同じ志を持っている方だったからこそ、
一緒になろうと思いました。
今回も共演をさせていただきますが、一緒になった時に、一人でも多くの方々の生きがいになるような、
生きる活力を与えられる存在でありたいと思いますね。

―――最後にメッセージをお願いします。

◆藤山扇治郎
お芝居をつくる上で舞台に立っている人だけではなく、お客様の力って本当に大きいと思います。
初演を観に来てくださった方、初めて観てくださる方にも、一人でも多くの人に観ていただきたいですね。
客席からのパワーが出演者の力になります!どうぞよろしくお願いいたします。

◆北翔 海莉
自分の地元である松戸や以前お世話になった鹿児島(*)、そして緒方洪庵さんの故郷である岡山公演もあります。
きちんと思い思いの気持ちを地元の方たちにお届けできるように、そして、この作品を観て、自分の人生の中で
この公演観られて良かったなと思っていただけたら嬉しいですし、何年か経った時に、あの作品また観たいなと
思っていただけるような公演をお届けしたいと思っております。

*宝塚歌劇団退団公演『桜華に舞え-SAMURAI The FINAL-』で、
西郷隆盛の片腕として活躍した桐野利秋を演じた際に鹿児島の古流剣術・示現流を学んだ経験がある。

 

 

『蘭 ~緒方洪庵 浪華の事件帳~』

 

原作:築山桂『禁書売り』『北前船始末』(双葉文庫)より

脚本:松田健次

演出:錦織一清

音楽:岸田敏志

 

会場:巡業

日程:2019年8月11日(日)~9月23日(月)

 

公式サイト

 

 

 
 

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