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歌舞伎座『九月大歌舞伎』が開幕!第一部、第三部 公演レポート、舞台写真掲載 2021年09月

(2021年09月03日記載)

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歌舞伎座『九月大歌舞伎』が開幕!第一部、第三部 公演レポート、舞台写真掲載


第一部『お江戸みやげ』左より
女中お長=中村梅花、角兵衛獅子弟=中村歌之助、常磐津文字福=中村福助、角兵衛獅子兄=中村福之助 提供ⓒ松竹

公演概要(リリースより)


本日9月2日(木)、歌舞伎座9月公 演「九月大歌舞伎(くがつおおかぶき)」が初日の幕を開けました。
(※第二部は既報の通り、9 月2日から6日まで上演を中止いたします)
「九月大歌舞伎」は、片岡仁左衛門、中村梅玉、坂東玉三郎をはじめとした豪華な顔ぶれで、
たっぷりと歌舞伎の醍醐味を味わえる名作が揃いました。
歌舞伎座では、引き続き出演者・お客様は各部総入替え、客席数(1808 席)は 50%(904 席)を
維持して公演を行います。お客様に安心して歌舞伎をお楽しみいただけますよう、換気や消毒を徹底するなど、
今後も感染予防対策に万全を期してまいります。

公演レポート


第一部は、「六世中村歌右衛門二十年祭」「七世中村芝翫十年祭」として二作品が上演されます。
幕開きは、人情味に溢れる『お江戸みやげ(おえどみやげ)』です。
名優二人を偲ぶ上演の幕が開くと、歌舞伎座の檜舞台に湯島天神の茶屋が現れます。
正面の床几に座るのは、七世中村芝翫の長男・中村福助です。福助は、昨年1月以来の歌舞伎座出演になります。
コロナ禍で公演を再開した昨年8月からは、初めての歌舞伎座出演。父・七世芝翫がお辻を演じた際には、
お紺役で何度も親子共演を果たしている大切な作品です。
福助は公演を前に「叔父と父という、ふたりの偉大な存在に少しでも近づけるよう、自分にとっても、
今回の出演は、日々のリハビリのモチベーションになっております。感謝しております」とコメントを寄せていました。
今回の福助出演に際し書き加えられた常磐津文字福の役で冒頭から舞台に登場すると、
客席からは万雷の拍手が送られました。
茶店の女中役を勤める梅花から「今日はどちらへお出でなされたのでございますか」と問われた福助は、
「父さんと叔父さんの年忌ゆえ、お墓参り に」と手を捧げると、場内はあたたかい拍手に包まれます。
その後も、角兵衛獅子の兄弟役を勤める福助の甥・中村福之助と歌之助兄弟から
「お師匠さん、ご無沙汰しております」「お元気そうで何よりでございます」と声を掛けられるなど、元気な舞台姿を見せました。
6分程の出演で床几から立ち上がると、平成30年9月の舞台復帰以来、初めて歌舞伎座の舞台を歩き、
舞台上手まで引っ込む間、場内は拍手がやみませんでした。
結城からやってきた行商人、中村芝翫演じる倹約家のお辻と、金勘定にも大らかな中村勘九郎演じるおゆう。
おゆうに誘われて見物した宮地芝居で、お辻は人気役者の中村七之助演じる阪東栄紫にすっかり心奪われてしまいます。
一世一代の恋をしたお辻にとっての、大切な“お江戸みやげ”とは…。
対照的なお辻とおゆうを演じる芝翫と勘九郎のやり取りが楽しく、息ぴったりな掛け合いに客席からは度々笑いが起こります。
特に、父・七世芝翫が当り役としたお辻を勤める当代の芝翫は「最近顔が父に似てきたとよく言われる」と
取材会で語っていたように、先代芝翫の面影を客席は感じているようでした。
栄紫に惚れたお辻の真っすぐな思いが心に沁み入り、 ほろ苦くも温かい空気に包まれる幕切れには、
客席から大きな拍手が上がりました。


第一部『お江戸みやげ』左より
おゆう=中村勘九郎、お辻=中村芝翫 提供ⓒ松竹


第一部『お江戸みやげ』左より
お辻=中村芝翫、阪東栄紫=中村七之助 提供ⓒ松竹


第一部『お江戸みやげ』左より
お辻=中村芝翫、おゆう=中村勘九郎 提供ⓒ松竹


続いては、『須磨の写絵(すまのうつしえ)』です。
在原行平と海女の姉妹の悲恋が描かれる能「松風」をもとにした舞踊劇。
本作をはじめとした松風舞踊で、松風を情緒豊かに表現した六世中村歌右衛門の二十年祭という節目に、
名女方を偲びます。中村梅玉が在原行平を演じるのは今回で3回目。初演は、父・六世歌右衛門が
最後に松風を演じた昭和53年10月、2回目の平成10年4月は七世芝翫が海女松風を勤めました。
当月は、中村魁春が松風を勤めます。在原行平と松風村雨姉妹が織りなす幻想的で美しい舞台に、
場内の視線が釘付けとなりました。
先日取材会に出席した梅玉は、第一部で六世中村歌右衛門二十年祭、七世中村芝翫十年祭が
行われることについて「一門のみんなで追善できることは非常に意味のある事。
供養の思いをこめて一所懸命つとめたいと思います」と想いを語りました。


第一部『須磨の写絵』左より
海女松風=中村魁春、在原行平=中村梅玉 提供ⓒ松竹


第一部『須磨の写絵』左より
海女村雨=中村児太郎、在原行平=中村梅玉、海女松風=中村魁春 提供ⓒ松竹

     *     *     *

第三部は、『東海道四谷怪談(とうかいどうよつやかいだん)』
運命に翻弄される男女、美しくも怖ろしい鶴屋南北の大傑作。
片岡仁左衛門、坂東玉三郎が昭和58年以来、38年ぶりに共演することでも話題の舞台です。
今回は、玉三郎のお岩が魅せる怖ろしさと、仁左衛門が勤める伊右衛門の色悪の魅力が際立つ、
浪宅の場から隠亡堀の場を上演。毒薬を飲んだお岩の顔が段々と醜くなっていき、
“髪すき”の場面では場内の空気も張り詰めます。
舞台上で展開される伊右衛門とお岩の物語を、客席は固唾を呑んで見守りました。
隠亡堀の場では、昭和58年上演時に初代尾上辰之助(三世尾上松緑)が勤めた直助権兵衛役を、
辰之助の長男・尾上松緑が勤めます。浪宅の場で伊右衛門に殺された中村橋之助演じる小仏小平
がお岩と表裏に磔にされた“戸板返し”の場面に息を呑み、玉三郎二役目のお花も登場。
仁左衛門、玉三郎、松緑、橋之助でのだんまりで絵面も決まり、奇跡的な今回の上演に大きな拍手が送られました。
微細な心理描写が味わい深く、怨念や恐怖を効果的に魅せる歌舞伎ならではの
様式美あふれる怪談劇にご期待ください。

『東海道四谷怪談』左より
民谷伊右衛門=片岡仁左衛門、お岩=坂東玉三郎 提供ⓒ松竹

『東海道四谷怪談』左より
民谷伊右衛門=片岡仁左衛門、お岩=坂東玉三郎 提供ⓒ松竹

『東海道四谷怪談』左より
民谷伊右衛門=片岡仁左衛門、佐藤与茂七=中村橋之助、お花=坂東玉三郎、直助権兵衛=尾上松緑 提供ⓒ松竹

 

 

『九月大歌舞伎』

 

公演日程:2021年9月2日(木)~27日(月)

【休演】9日(木)、21日(火)

会場:歌舞伎座

 

※第二部は9月2日(木)~6日(月)の公演が中止となりました。

 

https://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/play/724

 

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