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10/22開幕 自由劇場『アンドロマック』に出演する野村玲子さん稽古場インタビュー 2022年10月

(2022年10月09日記載)

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10/22開幕 自由劇場『アンドロマック』に出演する野村玲子さん稽古場インタビュー



『アンドロマック』稽古場より 
左よりアンドロマック役 野村玲子、ピリュス役 阪本篤
写真提供:浅利演出事務所

★関連記事→10月22日開幕!自由劇場 ジャン・ラシーヌの名作『アンドロマック』上演が決定!https://enterminal.jp/2022/08/andromaque/

アンドロマック役を演じるの野村玲子さんインタビュー


ーーー再演を重ねてきた作品ですが、コロナ禍を経て、いまこの作品を上演することについて。

◆野村玲子
2018年以来、4年ぶりの再演となります。前回は演出家・浅利慶太が他界したばかりの上演で、
とにかく無我夢中だったことを思い出します。コロナ禍では企画していた公演の延期や中止も経験しました。
お客様を劇場にお迎えして、同じ時間、同じ空間で、作品の世界を共有できることの素晴らしさを改めて感じています。
直接人と会って会話をすることが憚られ、人との交流はSNSが主流になっている今こそ、
会話(言葉)のみで成立するこの作品に挑む意義があると思いました。
美しい日本語に触れて、言葉の持つ力や魅力を感じていただけましたら嬉しいです。

ーーー作品と演じるお役について教えてください。

◆野村玲子
『アンドロマック』は、トロイ戦争後のギリシャを舞台に4人の男女の片思いを描いた古典劇です。
一国の王や王女による国を背負った恋愛の駆け引きですから、スケールは壮大。
たった1日の出来事とは思えない濃密な物語が、ラストに向かって怒涛の展開を繰り広げます。
私が演じるアンドロマックは、トロイ国の王妃です。
夫エクトールをトロイ戦争で喪い、敵国のエピール国王ピリュスの元に息子と共に囚われています。
ピリュスからの求愛を拒み、亡き夫への愛を貫きたいのですが、愛息を守るために大きな決断を迫られる役柄です。

ーーー⾔葉(会話)のみで紡いでいく作品。観る側もより集中して物語に⼊り込めると思いますが、
⾔葉だけだからこその難しさや⾯⽩さはどんなところにありますか。


◆野村玲子
この作品は長台詞が特徴的で、一人で数ページを語るシーンも少なくありません。
ダラダラと語る台詞ほど退屈なものはありませんよね。この作品の初演時(1966年)に、
演出家・浅利慶太は台本に書かれた台詞を色彩豊かに表現する“朗誦術”を確立させました。
言葉が明確に聞き取れることはもちろん、台詞に流れる意識の変わり目を繊細に、丁寧に言葉に乗せます。
俳優たちはその“朗誦術”を駆使して、長台詞を“生きた言葉”として表現しなければなりません。
集中力と体力が必要な作業でお稽古が終わるとクタクタになりますが、俳優としてとても挑戦のし甲斐がある作品です。

ーーー350 年以上前に書かれた作品で、恋愛など⼈間の様々な駆け引きが描かれていると思いますが、
現代に通じるところや⾒どころを教えてください。


◆野村玲子
古典劇ではありますが、描かれている内容は現代を生きる私たちも共感できるものばかりです。
恋する気持ちや、裏切られて嫉妬する気持ちなど、350年前の人々も私たちと同じようなことで悩んでいたのかと思うと、
面白いですよね。頑なな人やプライドの高い人、好きな人に言われるがまま尽くしてしまう人もいる。
誰かに感情移入したり、誰かに反発を覚えたり、いろいろな形で楽しんでいただけるのではないでしょうか。

ーーーこの記事を読んだ⽅へのメッセージをお願いします。

◆野村玲子
ストレートプレイや古典劇は難しいと思われる方も少なくないかもしれませんが、
物語はとてもシンプルでわかりやすく、衣裳や照明も大変美しい舞台です。
この秋は、是非“言葉の芸術”を味わいに、自由劇場へお越しください。劇場でお待ちしております。


アンドロマック役 野村玲子
撮影:山之上雅信

ストーリー


トロイ戦争にギリシャ軍として参戦したエピール国王ピリュスは、
その武勲を讃えられ、スパルタ王より王女エルミオーヌを婚約者として与えられた。
しかし彼は、あろうことか捕虜にとった敵方の妃アンドロマックに心を奪われ、
その息子アスティアナクスともども宮殿内に匿っている。
将来の禍の種であるトロイの唯一人の世継ぎの命を一日も早く絶ちたいギリシャでは、
その遺児を手中にしているピリュスに非難の声があがっていた。
そこへ全ギリシャの使者としてオレストがやって来る。表向きは、アスティアナクスを生贄として差し出させるというのが
訪問の理由だが、従妹のエルミオーヌを熱愛するオレストは、彼女がピリュスに冷たくあしらわれていると知り、
彼女を連れ戻すべくエピール行きを買って出たのだ。
オレストはアスティアナクスの身柄を要求するが、アンドロマックに固執す るピリュスは申し出を拒絶し、
ギリシャと戦火を交えることすら辞さない覚悟を伝える。
しかし当のアンドロマックは、亡夫エクトールへの貞節を守り、ピリュスの求愛を拒み続け、
エルミオーヌと婚礼をあげるように彼を説得さえする始末。
エルミオーヌの心も乱れていた。誇り高い彼女は、自分を裏切った婚約者を許せず、嫉妬の憎悪を募らせる。
自分に思いを寄せるオレストの気持ちを利用し、ピリュスを裏切り者としてギリシャに攻撃させる計略に引き込んでいく。
一方のピリュスは、自分の意に沿わないアンドロマックに業を煮やし、トロイの遺児をギリシャに差し出し、
アンドロマックを諦めエルミオーヌを妻にすることに決めたと言う。
しかしこれはアンドロマックに嫉妬させて自分の方に振り向かせようという思いからで、
ピリュスの心中はアンドロマックへの未練でいっぱいだった。
結婚が決まり心浮き立っているエルミオーヌのもとにアンドロマックが愛息の命乞いにやって来る。
しかしエルミオーヌは憎いアンドロマックの言葉に耳を 貸すはずもない。
絶望したアンドロマックに残されたのは、ピリュスの慈悲にすがることだけ。
彼女に未練たっぷりのピリュスは、自分の妻になってくれるなら、今すぐにもエルミオーヌとの婚約を破棄し、
アスティアナクスの命を助けようと申し出る。
アンドロマックは、亡夫への貞節と、その忘れ形見である愛息の命との間で揺れ動く。
思い悩んだあげく夫の墓へ向かうアンドロマック。再びの裏切りに憎悪の炎をたぎらせるエルミオーヌ。
国運を賭けて愛を選択したピリュス。思いもかけない展開に混乱するオレスト。
愛する者であると同時に愛されざる者である四人の男女が四者四様の選択を迫られた時、
悲劇は大きな渦となり、この愛と復讐劇は意外な結末へと向かうことになる。


左よりオレスト役 近藤真行、ピラド役 坂本岳大


左よりエルミオーヌ役 坂本里咲、オレスト役 近藤真行


左よりフェニックス役 山口嘉三、ピリュス役 阪本篤


左よりセフィーズ役 服部幸子、アンドロマック役 野村玲子、エルミオーヌ役 坂本里咲、クレオーヌ役 田野聖子

登場人物/配役


◆アンドロマック/野村玲子
ギリシャ軍によって滅ぼされたトロイの総大将エクトールの妃。
アキレスに無残な殺され方をした夫への貞節を守るか、仇の息子ピリュスの求愛を受け入れて、
愛息アスティアナクスの命を守るか。辛い選択を迫られる。

◆ピリュス/阪本 篤
伝説の英雄アキレスの息子でエピールの王。父とともに参戦したトロイ戦争で輝かしい武勲を立てる。
高潔で、ギリシャ軍からの信頼も厚かったが、敵方の捕虜アンドロマックを愛してしまい、容易ならざる立場に立たされる。

◆エルミオーヌ/坂本里咲
トロイ戦争の発端となった絶世の美女として名高いエレーヌの娘で、母親譲りの美貌ゆえに、気位の高いスパルタ王女。
父王メネラスが決めた婚約者ピリュスを激しく愛しているが、その裏切りにあい、従兄オレストを復讐に巻き込む。

◆オレスト/近藤真行
今は亡きギリシャの総大将アガメムノンの息子で、ギリシャの勇士。エルミオーヌを熱愛している。
ギリシャ悲劇では、姉エレクトルと共に、父を殺した母クリテムネストルとその愛人を殺害し、復讐の女神に呪われる。

 

 

『アンドロマック』

 

作:ジャン・ラシーヌ

訳:宮島 春彦

演出:浅利 慶太

 

日程:2022年10月22日(土)〜10月29日(土)

会場:自由劇場

 

主催:浅利演出事務所

協力:劇団四季

 

https://asarioffice.jp/andromaque2022/

浅利演出事務所 公式Twitter アカウント:asariproduce

 

 

 
 

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