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歌舞伎座「十二月大歌舞伎」が開幕!公演レポート、舞台写真掲載 2022年12月

(2022年12月06日記載)

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歌舞伎座「十二月大歌舞伎」が開幕!公演レポート、舞台写真掲載


★各演目写真及び内容に触れておりますので、ご観劇前の方はご注意ください。★

夜の部『助六由縁江戸桜』左より、花川戸助六=市川團十郎白猿、三浦屋揚巻=坂東玉三郎
提供ⓒ松竹

公演概要(リリースより)


歌舞伎座での2ヶ月にわたる
「市川海老蔵改め十三代目市川團十郎白猿襲名披露 八代目市川新之助初舞台」公演。
満員御礼となり連日大きな賑わいを見せた11月公演に続き、
12月5日 (月)から「十二月大歌舞伎」(12月5日初日〜26日千穐楽 休演日:12日、19日)が開幕しました。

公演レポート


12月公演は歌舞伎の様式美を堪能できる華やかな演目、『鞘當(さやあて)』で幕を開けます。
舞台は桜が満開の吉原仲之町。尾上松緑演じる不破伴左衛門と松本幸四郎演じる名古屋山三がやってくると、
すれ違う際に刀の鞘が当たったことから斬り合いとなり…。
争う二人を止めに入るのは 市川猿之助演じる留女(偶数日は市川中車演じる留男)。
荒事味のある伴左衛門と和事味漂う山三の渡り台詞や、留女の貫禄ある啖呵が心地よく響きます。
伊達を尽くした豪華な衣裳も目に美しく、廓風情漂う舞台に会場は華やかな空気に包まれました。


昼の部『鞘當』左より、名古屋山三=松本幸四郎、不破伴左衛門=尾上松緑
提供ⓒ松竹


昼の部『鞘當』左より、名古屋山三=松本幸四郎、留女=市川猿之助、不破伴左衛門=尾上松緑
提供ⓒ松竹


続いては、十三代目市川團十郎白猿襲名披露狂言『京鹿子娘二人道成寺(きょうかのこむすめに にんどうじょうじ)』です。
今回は鐘供養から、市川團十郎家の家の芸「歌舞伎十八番」の一つで華 やかかつ壮大な荒事の魅力を存分に堪能できる
『押戻し』までを上演。春爛漫の道成寺に現れる二人の白拍子花子を尾上菊之助と中村勘九郎、
大館左馬五郎を市川團十郎白猿が演じます。
二人の花子が、実は恋の恨みから蛇体となって道成寺の鐘を焼いた清姫の怨霊であったことが分かり、
その本性を現すと、花道より勇猛な大館左馬五郎が登場し、怨霊の前に立ちはだかります。
前半の華やかな踊りから一転、後半は新團十郎演じる左馬五郎が花道から本舞台へと
怨霊を力強く押戻していく様子を観客も息を呑んで見守ります。
「竹馬の友の和康と兄貴と慕うた中村屋の面差し漂う雅行によく似た化物奴…」と
清姫の怨霊を演じる菊之助と勘九郎に絡めた遊び心溢れる左馬五郎の台詞に観客は大盛り上がり。
公演に向けたインタビューで「父(十二世團十郎)のようなおおらかな左馬五郎を目指します。」と
語った團十郎は、典型的な荒事の扮装を身にまとい、存在感溢れる左馬五郎で観客を魅了しました。
新團十郎、菊之助、勘九郎と同世代の俳優が揃い、襲名を寿ぐ華やか 一幕となりました。

昼の部『京鹿子娘二人道成寺』左より、白拍子花子=中村勘九郎、白拍子花子=尾上菊之助
提供ⓒ松竹


昼の部『京鹿子娘二人道成寺』大館左馬五郎=市川團十郎白猿
提供ⓒ松竹


昼の部を締めくくるのは、八代目市川新之助初舞台狂言『毛抜(けぬき)』
11月公演にて『外郎売』の外郎売実は曽我五郎を凛々しく勤めあげた八代目市川新之助が、
今月は史上最年少となる9歳で『毛抜』の粂寺弾正を勤めるとあって、開幕前から注目が集まる演目の一つです。
舞台は中村梅玉演じる小野春道の屋敷。原因不明の病に伏せる姫君錦の前の様子をうかがいに、
姫君の許婚である文屋豊秀の家臣粂寺弾正がやって来ます。
機智に富んだ弾正は姫君の奇病の仕掛けや悪人たちの策略を見事に解き明かしていき…。
父・十三代目團十郎が演じた『毛抜』の舞台を観てから、粂寺弾正が憧れの役だったと話す新之助は、
持ち前の明るさとおおらかさを存分に活かし、愛嬌あふれる弾正を見事に演じ切りました。
本作の見せ場である様々な見得が決まるごとに観客からは大きな拍手と劇場指定の
関係者による小気味良い大向うの声が会場に響き渡ります。
歌舞伎十八番の中でも特におおらかな雰囲気が溢れ、古風な味わいたっぷりの一幕。
新之助が今回使用している髷は曽祖父にあたる十一世團十郎が粂寺弾正を勤めた際に使用していたもの。
「新之助としていろんな役をいっぱい演じていきたい」と熱く語り、歴代の想いを受け継ぐ
八代目新之助が大きな一歩を踏み出した歴史的瞬間に立ち会った観客からは、あたたかな拍手が絶えることなく送られました。

昼の部『毛抜』粂寺弾正=市川新之助
提供ⓒ松竹


昼の部『毛抜』粂寺弾正=市川新之助
提供ⓒ松竹


夜の部は、襲名披露『口上(こうじょう)』から始まります。
幕が開くと舞台上には十三代目市川團十郎白猿、八代目市川新之助はじめ、
市川團十郎家の色である「柿色」の裃を揃って身にまとって俳優がずらりと並び、
幕が開くと同時に客席からも大きな拍手が沸き起こりました。
本日の初日 は松本白鸚が体調不良で休演のため市川左團次による紹介で始まりました。
続けて、河原崎権十郎、 市川右團次、市川高麗蔵、松本幸四郎、市川猿之助、市川門之助、市川男女蔵、市川齊入が次々と
華やかにお祝いの挨拶を述べます。團十郎は「市川宗家の覚悟」を感じさせる真摯な眼差しで、
続く新之助は若々しいエネルギーに溢れ、溌溂と挨拶しました。
最後には、11月に引き続き、團十郎が皆様の無病息災を願い成田屋の家の芸である「にらみ」を力強く披露し、
熱い拍手に包まれました。

夜の部『口上』前列左から2番目より、市川新之助、市川團十郎白猿、市川左團次
提供ⓒ松竹


夜の部『口上』
提供ⓒ松竹



続いては、市川團十郎家所縁の舞踊『團十郎娘(だんじゅうろうむすめ)』です。
『團十郎娘』は文化10(1813)年に七世團十郎によって初演された所作事。
美しく、力自慢で評判の娘・お兼を市川ぼたんが勤めます。
歌舞伎座において歌舞伎の本興行で女性が出し物をするのは実に60年ぶり。
昭和37(1962)年5月に歌舞伎座で行われた十一代目市川團十郎襲名披露興行の際に
三代目市川翠扇が同じく『團十郎娘』を勤めて以来となります。舞台は近江八景の一つの琵琶湖のほとり。
花道より馬をひいてやってきたお兼は乙女の恋心を近江八景によせて見せていきます。
ぼたんは長唄に合わせて愛らしく繊細に心情を訴えかけ、観客の心を掴みます。
やがてお兼の大力の噂の真偽を確かめようと、隠れていた市川右團次、市川男女蔵ら演じる漁師たちが打ちかかりますが、
お兼は軽やかにそれをあしらいます。大きな見せ場である白い晒を用いた“布晒し”では、白く長い晒を華麗に翻し、
その軽快な様子に場内からは万雷の拍手が送られました。

夜の部『團十郎娘』左より、漁師=市川男女蔵、漁師=市川右團次、近江のお兼=市川ぼたん
提供ⓒ松竹


夜の部『團十郎娘』近江のお兼=市川ぼたん
提供ⓒ松竹


最後の演目は、11月に続けての上演となる歌舞伎十八番の内『助六由縁江戸桜(すけろくゆかりのえどざくら)』です。
裃姿の松本幸四郎の口上に始まり、聞こえてくるのはさっぱりと軽やかな河東節の粋な演奏。
坂東玉三郎演じる三浦屋揚巻が花道より登場すると、場内は一気に華やぎ、一瞬にして吉原の街に。
傾城たちの口から語られる江戸一の伊達男・花川戸助六とは一体どんなに良い男なのかと、
客席の期待も最高潮に達したところで登場するのが、市川團十郎勤める花川戸助六です。
花道にあらわれた途端、無駄のない流麗な立ち振る舞いにすべての観客が視線を奪われます。
高まった期待をさらに上回る新團十郎の洗練された美しさに圧倒されるうち、物語は進んでいきます。
助六が探す重宝・友切丸の詮議のため、坂東彌十郎演じる髭の意休に悪態をついたかと思えば、
印象的な登場人物たちが次々登場し華やかな舞台を背景に楽しい場面が続きます。
中村勘九郎演じる白酒売新兵衛がやってくるとその和事味ある佇まいと、弟の助六との対比が面白く、
喧嘩を売った相手に自らの股の下をくぐらせる件は、思わずくすりと笑いがこぼれます。
廓風情を漂わせる市川猿之助演じる通人里暁の存在も印象的で、新團十郎、の若い頃のエピソードを繰り出し、笑いを誘います。
師走の忙しなさを忘れる、襲名披露興行に相応しい華やかなひと時となりました。

夜の部『助六由縁江戸桜』左より、花川戸助六=市川團十郎白猿、髭の意休=坂東彌十郎
提供ⓒ松竹


夜の部『助六由縁江戸桜』左より、花川戸助六=市川團十郎白猿、三浦屋揚巻=坂東玉三郎
提供ⓒ松竹

 

 

市川海老蔵改め

十三代目 市川團十郎白猿襲名披露

『十二月大歌舞伎』

八代目 市川新之助初舞台

 

公演日程:2022年12月5日(月)~26日(月)

【休演】12日(月)、19日(月)

【貸切】昼の部:15日(木)、夜の部:11日(日)

会場:歌舞伎座

 

https://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/play/770

 

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