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宝塚歌劇団を卒業して、第二章の幕開けとなる光月るうさんインタビュー 2023年10月

(2023年10月03日記載)

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宝塚歌劇団を卒業して、第二章の幕開けとなる光月るうさんインタビュー


公演概要


2023年4月30日に宝塚歌劇団を卒業した光月るうさん。
10月1日付けでACT JPエンターテイメントに所属して、第二章の幕開けとなります。
これまでのこと、そしてこれからの活動についてお聞きしました。

インタビュー(2023年8月30日)


ーーー宝塚歌劇団を目指したきっかけを教えてください。

◆光月るう

私はテレビが大好きで、学生時代にちょうど安達祐実さんが大ブレイクした頃だったので、
憧れて児童劇団の募集を新聞で見かけて応募しました。
週1回のレッスンに通い、小さな舞台に出演したこともありました。
中学2年生で進路を考える時に児童劇団を辞めて、代わりに習い始めたジャズダンスの先生が宝塚OGの方だったんです。
そこで初めて宝塚歌劇のことを知りました。初めて観たのは高校1年生の時に、
月組のトップスターでいらした久世星佳さんのサヨナラ公演『バロンの末裔』でした。
初めて観た人は羽根や華やかなショーに目が行きがちだと思いますが、久世さんと風花舞さんのトップコンビの
大人のお芝居にどっぷりと浸り、ショーの時間も、お芝居のことで胸がいっぱいで放心状態でした(笑)。
久世さんはとても自然体なお芝居をされる方で、その姿に心射抜かれ、私もあんなお芝居ができるようになりたい!と思いました。

ーーーそこから宝塚音楽学校を受験するのですね。

◆光月るう

高校1年生の時に初めて受験をして年々入りたいという思いが強くなっていたので、
高3のラスト受験では大学進学を考えずに宝塚一本で行く!という強い思いで挑んで合格しました。
入学してからレッスンは厳しかったですし、親元を離れたのも初めてだったので生活も大変でした。
音楽学校は中学3年生から高校3年生までが受験ができるので、同期生は15歳から18歳までいます。
ある意味お姉さんでいなきゃいけないというのも試練でしたが、
舞台に立ちたい、こういう男役になりたいという想像が膨らんで、自分が決めた目標に向かって、
毎日のしんどさよりも夢を描いていた感じでした。

ーーー入団後はターニングポイントになった作品はありますか?

◆光月るう

新人公演の『夢の浮橋』です。
宝塚に入ったら一度は真ん中を目指したり、何か目立つ役をやることに憧れて切磋琢磨をしたりしますが、
ありがたいことに大空祐飛さんや霧矢大夢さん、遼河はるひさんなど男役スターさんの役をいただくようになって、
私もそういう風に目指していくんだと思い込んでいました。でも、真ん中に立つのは本当に選ばれた方。
それも分かりながらやっていく中で、上級生に言っていただいた一言で、私が目指すのはここではないなと、
ストン!と落ちるものがありました。悔しい思いもありましたが、気が楽になって。
脇役者と言われる、組の中でも支えていけるポジションなろうと、すぐに気持ちを切り替えることができました。

ーーー宝塚歌劇の代表作ともいわれる作品にも数多く出演されていますが、印象に残っている作品はありますか?

◆光月るう

『ベルサイユのばら』『風と共に去りぬ』『ME AND MY GIRL』『スカーレット・ピンパーネル』『ロミオとジュリエット』、
そして『エリザベート』には3回出演させていただきました。本当にすごく恵まれていたなと思います。
下級生の時はグループの中の1人や若い役をさせていただきました。
中堅になってからも若いグループに入れていただくことが多かったので、そこを早く打破したいという思いもありました。
女役やおじさん、おばあさんなど老若男女、幅広い役をさせていただきました。
月組の代表として専科公演『オイディプス王』に出させていただいた時に、専科の皆さんは何を言うわけでもなく、
自分が思う芝居を稽古でぶつけていく姿を見て、あぁ役者っていいなって思いましたし、
そこから自分の芝居に対する感覚が変わってきた作品でした。

ーーー光月さんの男役像とは?

◆光月るう

華やかな世界ですが、最初に観た久世星佳さんの、地に足がついた心射抜かれたあの存在感やお芝居に惹かれたので、
お客様が舞台を観られた時に、この人がいるから安心するなという存在になれたらと思っていました。
渋さに興味が湧いたので、そういう意味ではいぶし銀のような男役を目標にしていましたね。

ーーー2018年に月組の組長に就任されました。

◆光月るう

組長になったから、いきなり組のみんなの面倒を見るというのではなく、
学年を重ねていくごとに下級生が増えていくので、常に責任持って対応をしていこうという思いでいました。
私が組長なった当時、他の組の組長さんの中でも学年的に下級生だったんですよね。
だから組のみんなともさほど年齢差もなく、近い感覚でいられました。「組長さん」と言われるよりも、
困ったらすぐに相談をしたり、すぐに愚痴をこぼすことができる、そんな存在でいられたらいいなと思っていました。
それと組長になったからパーフェクトというのではなく、私がお稽古場でありのまま居ることで
失敗する姿も見てもらいたいと思っていました。月組のみんながすごくしっかりしていて、「どう思う?」と聞くと
「こう思います!」とすぐに答えてくれるので、「じゃあそれを取り入れてやろう」とか、友だちのような距離感で、
みんなと変わらないスタンスで接していられたと思います。そういう意味では、組長らしくない組長だったかもしれませんね(笑)。

ーーー宝塚歌劇団とは、どんな場所でしたか?

◆光月るう

夢を追って入った場所ですが、一番“人として”という部分を鍛えていただきました。
願って努力をすれば、その願った自分になれることを知ることができました。
芸事の面でも切磋琢磨して、努力をしていかなければいけないのですが、
それと同時に小林一三先生が“清く正しく美しく”というモットーを掲げてくださって、仲間や先生方、スタッフの皆さん、
そしてお客様と、本当に多くの皆さんと接して、人としての精神面や自分自身を学ばせていただいた場所でした。



ーーー卒業後にやりたいと思っていたことは実現できましたか?

◆光月るう

ずっとやりたいと思っていたゴスペルを始めました。在団中は、役づくりも兼ねて舞台や映画など色々な作品を観てきました。
これからどうやって自分を進めていこうかなと模索していた時期に、海外のミュージカル『ヘアスプレー』を観て
元気やパワーを貰いました。考えている場合ではない!とにかくやりたいことをやっていこう!と、前向きにさせてもらえた作品。
劇中でゴスペル音楽が歌われていて、思いが込められた魂の歌に感動しました。いつかこういう歌が歌えるように
人としても成長したいと思いましたし、それだけのバイタリティーがある人でありたいなと感じました。

ーーー最近は、ラジオ出演や講演会など初挑戦が続いていますね。

◆光月るう

在団中は宝塚歌劇のことや月組のことを代表として話す機会が多かったので、
卒業してから自分のことを振り返ると、歩んできた道が全てです!みたいな感じで(笑)。
走り続けて日々を過ごしていたので、当時感じたことを書き留めておけばよかったなって思うくらいです。
自分のことをいざ言葉にしてみるとすごく難しかったですね。
講演会では「全てをかけて生きてきた場所 宝塚」というタイトルで、宝塚音楽学校の受験生やその親御さん、
一般の方たちに、私から見た宝塚をお話するのと同時に、歩んできた道と皆さんに活力を与えられたらということや、
女性としてたくましく生きていくことなどをお話させていただきました。

ーーー退団後、ファンミーティングも開催されました。

◆光月るう

コロナ禍で、ずっとファンミーティングができず4年くらい皆さんとは舞台と客席でしかお会いできていなかったんです。
卒業前のサロンコンサートでは近い距離ではありましたが、今回のファンミーティングように皆さんからの質問に受け答えしたり、
普通に会話ができることが久しぶりだったので、皆さんも喜んでくださいました。
宝塚を卒業いたしましたが、光月るうという名前は宝塚で誕生して育った名前なので、その原点の部分も大切にしたいと思いつつ、
そこを経てまた皆さんに、これからの光月るうも楽しんでいただけるようにしたいという思いも湧き上がって嬉しかったですね。

ーーー光月さんにとってファンの存在とは?

◆光月るう

私にとって、ファンの皆さんは友だちのような、同志のような。
カッコいい!素敵!って思ってくださっているのもわかるのですが、すごく近い感覚で普通なんですよね。
そういう意味では何かあったら「ねぇ聞いてよ〜」と皆さんが言ってくれるような感じの家族のよう。
ファンというより一緒に人生を歩んでいってくれる仲間のような感覚です。


ーーーこれから挑戦したいことは?

◆光月るう

やっぱり演じることが大好きなのでお芝居に携わっていきたいと思います。もちろん宝塚歌劇団出身ではあるのですが、
光月るうとして、普通にその役を生きて皆さんに観ていただけるような役者でありたい。
何か目立つような派手さはなくても、重宝されやすい存在でいたいなって思ったので、
劇団に入る時もそうでしたが真っ白な自分でありたいです。
公演ごとにその役に自分が染まっていきたいという原点は今も変わらずにありますし、
安心感を感じてもらえる人でいられたらいいなと思います。

ーーーいまハマっていることは?

◆光月るう

卒業してから4ヶ月が経ちました。
外で活動していく中で、初めて経験することも多いので、色々なことを取り入れながら自分の軸としてブレないものを持ちつつ、
様々なことに挑戦してみたいという気持ちです。ゴスペルもそうですが、体を動かすことも続けていきたいですし、
いつでも、どんな役でもできるように準備しておきたいと思います。

ーーー最後にメッセージをお願いします。

◆光月るう

宝塚歌劇団を卒業して光月るう第二章として、色々なことに挑戦をして元気をお届けできたらと思います。
よろしくお願いします!



(取材:住川禾乙里/撮影:伊藤華織)

【今後の出演予定】
クライネス・コンツェルトハウス 特別演奏会 ~響~
出演:クライネス・コンツェルトハウス管弦楽団
ゲスト:光月るう
日程:2023年11月29日(水)19:15開演(18:45開場)
会場;東京文化会館 小ホール
曲目:モーツァルト:オペラ『ドン・ジョヴァンニ』より抜粋(オーケストラのみで演奏)
ジョン・ラター:弦楽のための組曲
料金(税込):指定6,500円
お問合せ:S-palette 03-6403-5605
https://www.t-bunka.jp/stage/19571/

 

 
 

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