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凰稀かなめさんインタビュー
自身初となるコンサート『The Beginning』で宝塚退団後初登場!
公演にかける意気込みをうかがいました
―――2015年2月15日、東京宝塚劇場千秋楽の会見で「私はびっくり箱のような人間なので、
突然現れるかもしれないし、当分先になるかもしれないし、本当に分からないので
温かく見守ってくださったら嬉しいです」とおっしゃっていました。
本当に突然、びっくり箱が開きましたね(笑)。宝塚歌劇団卒業の日から1カ月が経過した今、どのような心境ですか。
辞めたのかどうなのか、実感があるようでないような感じです。いよいよ今日から『The Beginning』のお稽古が始まるので、
いろいろやっていくうちにだんだん実感していくんだろうなと思います。男性ダンサーの方たちと一緒に稽古をするのも、
今までは自分自身がが男役だったので変な気分です。ディナーショーはやらせていただいていましたが、
実はコンサートをやるのも初めてなので、今は楽しみよりドキドキの気持ちの方が大きいです。
―――『The Beginning』というタイトルには、どのような想いが込められているのでしょうか。
宝塚を卒業し新たなスタートということで“始まりの時”という意味です。構成・演出のTETSUさんと一緒に決めました。
TETSUさんとは今回初めてご一緒させていただきます。私のサヨナラ公演を観に来てくださり、
そこで初めてお目にかかりました。とても面白い方だなという印象を持ちました。
―――どのような公演になりそうか、ニュアンスだけでも教えていただけますか?
TETSUさんと相談しながら考えています。“凰稀かなめ”として、宝塚の男役だったイメージを裏切らずに、
新しいジャンルに挑戦したいと思っています。宝塚ではどちらかというとスマートなダンスを踊ることが多かったのですが、
今回は激しい曲に合わせたダンスシーンもあります。英語の歌詞がなかなか覚えられなくて、そこがまず大変です。
ちょっと宝塚っぽいところもありますし、コントも入ってかなり盛りだくさんな内容になりそうです。
本番まで1カ月切っていますし、正直言って「えらいこっちゃ!」です(笑)。
―――コントが入るのですか?!凰稀かなめさんのコント、イメージが沸きません(笑)。
私はもともと芝居が好きなので、この公演の中でも「芝居仕立てのものがやりたい」とTETSUさんにお伝えしたら、
コントが出来あがってきました(笑)。今までにない感じの役どころを創ってくださいました。
どうなるかやってみないと分からないですが、楽しい場面になりそうです。これも新たな挑戦ですね。
―――共演者の方々の印象もうかがえますか。
白華れみさんは星組時代のほんの短い期間だけですが一緒に出演していたので、
懐かしい仲間と一緒に出来るのはすごく嬉しいです。平澤智さんは宝塚の振付もなさっていますので、
私にとっては自由で面白い先生です(笑)。生徒(出演者)の個性を見て、そこで振りを考えていく方で、
突然「ねぇ、何を踊りたい?」とお聞きになることもありました。今まで先生と生徒という関係だったので、
平澤先生が自分のコンサートに出演するというのは不思議な感じです。一緒に踊るシーンもあるかもしれないと思うと
ドキドキします。IYO-Pさんとは、今回初めてご一緒するので楽しみです。
―――今回激しいダンスを踊ろうと思ったのは、何かきっかけがあったのですか?
いや、特にないです(笑)。どちらかと言うと宝塚時代は王子様系だったので、
「辞めた後、逆に男っぽくなったね」「かっこよくなったね」と言っていただけるような部分も
見ていただきたいなと思ったのです。
―――今までの男役とは違う“かっこよさ”を追求していきたいということですね。
男役とは違った、“女性としてのかっこよさ”を見せていけたらいいなと思っています。
どちらかというと私は中性的な男役だったので、ショーで女性役をすることも多かったのですが、
今回は素の自分で、しかも女性として存在するのがまだ恥ずかしくて・・・。
―――「どうやって存在すればいいんだろう?」という感じですか?
そうなんです。普段も長い間男役をしてきたので大股で、しかも脚を開いて歩いちゃうんです。
まずはモデルさんのようにまっすぐ歩けるように、毎日ピンヒールを履いて練習しています。
―――もしかしてスカートもはいてみました?
・・・(照)
はい、1回だけはいてみたのですが、足がスカートに慣れていないのが分かり、スースーして落ち着かず、
すぐにズボンに戻りました(笑)。
―――そうやって自分の中で探っていく過程も楽しいでしょうね。
やっぱりスカートはしばらく封印かなと(笑)。まずはスカートははかずに、かっこいい女性を目指したいですね。
―――宝塚を知る前はどのような職業に付くのが夢でしたか?
女優さん、モデルさんです。
―――今もその夢を?
それが分からないんですよね。明確に○○になりたいですとは言えないです。
でも演じることやお芝居は好きです。芝居と言っても、テレビなのか、映画なのか、やっぱり舞台なのか、
やってみないと分からないところもあるかなと思っています。これからゆっくり考えていきたいです。
―――宝塚を退団した翌日はどんなことをしましたか?
翌日は組旅行だったので、宙組のみんなと温泉に行ってのんびりしました。
―――退団した後での組旅行、不思議な気持ちではなかったですか?
それが、退団した実感がないんですよ。
―――在団中に比べ、少しは自分の時間が取れるようになりましたか?
取れるようになりましたね。規則正しい生活を心がけようと思いつつ、辞めてからあまり目覚ましをかけず、
いつの間にか16時間寝ていたり、気付いたら日付が変わっていたりすることもありました。
宝塚にいる間、公演中は8時間は寝るようにしていましたが、稽古中などは2~3時間しか眠れない日々でした。
それと比べると生活もガラリと変わりました。
―――そんな中で自分を見つめ直す時間も?
背負いこんでいた色々なものが、少しずつではありますが取れてきている感じがします。
「あ、私芝居をするのが好きだな」とか、そういう原点の気持ちを思い出しました。
―――ゆったりした時間が取れてこそ、沸き上がってきた感情かもしれないですね。
そういう意味では貴重な時期ですね。
宝塚時代は恵まれ過ぎていたんでしょうね。改めてちゃんと考えて進んでいかないと、と実感しています。
でもまだ答えは出ないので、今はとにかくたくさん勉強したいなと思っています。
―――何か見たり読んだりしていますか?
これが観たいなと思った舞台は、足を運ぶようにしています。特にストレートプレイが好きなのですが、
ミュージカルも好きですし、作品にもよりますね。
―――気が付いたら宝塚の男役目線で男性ばかりを観ていた、なんてこともありそうですね。
そうなんです。男役目線だと、女の人のスカートさばきが雑だったりすると気になってしまったり、
宝塚とは違う世界でも所作は綺麗な方がいいなと思ったり。ここはこうしたらいいんだろうなとか、
色々考えながら観ていることが多いですね。
―――退団後に宝塚の舞台はご覧になりました?
先日、雪組の『ルパン三世』を観ました。
―――退団後に観ると、違う感覚ですか。
いや、まったく、今までと変わりなかったですね。
―――もしかしたら、宙組公演を観たら自分がいないのが不思議だと思うかもしれないですね。
大劇場でまーくん(現在の宙組トップ:朝夏 まなと)が大羽根を背負った姿を見た時に、
七代目に引き継がれたんだなという実感をするのでしょうね。
―――退団する時、宙組の組子全員にメッセージを書いて渡したのですよね。
そうです、全員に。ひとりひとり、「ここがこういう風に見えるから、もっとこうしたほうがいいよ」というような
ちょっとしたアドバイスを書いて渡しました。でもそれを押し付けることはしていなくて、
「私にはこう見えたよ」というのを伝えて、その子の何かが変わっていったらいいかなと思いますし、
それがその人にとって必要なかったら別にやらなくてもいいんです。
宙組トップに就任して以来、組子全員のことを見てきて、その都度色々な言葉を残してきました。
それが宙組のどこかに残っていたらいいなと思います。
―――その意識は、自分がどなたかにそうしてもらった経験があったからですか。
新人公演時代、コムさん(朝海ひかる)の役を演じることが多かったので、私の下級生時代の身近な先輩はコムさんなんです。
当時、私がどういうタイプかを知った上で本当にたくさんのアドバイスをくださいました。
私はそれを理解するのにすごく時間がかかってしまいましたが、「背中をちゃんと見なさい」とおっしゃっているのが
分かったので、コムさんの背中を見て、演技に生かしていく力が付いていったと思います。
私がトップに就任した時には「大丈夫?」と声をかけてくださいました。
下級生時代から知っている分、心配もおかけしたと思いますが、
退団公演の時にも「本当にここまでよく立派になったね」と言ってくださいました。
私も「自分がトップになってから、あの時はああだったなとかこうだったなとか、
ずっとコムさんのことを思い出していたんです。色々と教えてくださりありがとうございました」という気持ちを伝えました。
まだまだ気付くことがこれからも山ほどあると思いますが、宝塚人生の終止符の時に
その時のトップさんにお礼を言わなきゃという気持ちになれたことは、私にとって大きな出来事でした。
もちろんコムさんだけでなく、私に関わってくださった上級生からの言葉は厳しいものもありましたが、
その言葉のお陰で育ててもらえたんです。それが宝塚の愛情だと思います。
退団公演には、(私の)星組時代のトップの柚希礼音さんも観に来てくださり、涙涙でした。
宙組の5代目トップの大空祐飛さんもいらしてくださり、「本当にお疲れさま」と言っていただきました。
その時、いろんなお話をさせていただけたのも嬉しかったです。
―――ご自分の性格を分析すると、どういうタイプですか?
分かりやすいとは思いますが、めんどくさい性格だと思います(笑)。
納得しないと動かないですし、助言してくださっている方の言葉をきちんと理解したいと思うから、
それにすごく時間がかかります。「もうそんな重く考えないで、軽く考えたらこうなるのに」、と思いながらも、
「自分の中で真剣に分析してそれを身体に入れて今後の自分に役立たせたい」と思うから、相当時間がかかるんです。
私のことを分かってくれている人は待ってくださるのですが、初めて会う方には誤解されてしまうようなことも。
自分自身もどかしさもありますが、分かってくれる人がいるお陰で、なんとかここまでやってこられたという感じです。
―――今までは宝塚の座組みの中で活動してきましたが、これからは一人でその都度
新しい人たちとの交わりになりますから、そのことはこれからの凰稀さんにとっても挑戦になっていきますね。
そうですね。でも気負わずに飛び込んで行こうと思います。
―――今回の『The Beginning』は3回公演なので、「観たかったけど取れなかった」とか
「スケジュールが開けられなかった」という方もたくさんいらっしゃると思います。
そんな皆様にもメッセージをお願いします。
私は“びっくり箱”なので、何が起きるか分かりません。温かく見守っていただけたら嬉しいです。
―――では最後に改めて宝塚退団後、自身初となるコンサート『The Beginning』の抱負を。
退団後、1作目でどういう風になるかドキドキしつつも最高に面白いコンサートになると思います。
たぶんすごくびっくりすると思いますが楽しいはずです。私も出演者と一緒に楽しんで創っていきたいと
思いますので、お客様にも久々の舞台を楽しんでいただきたいです。
宝塚を退団しましたが、これからの凰稀かなめもどうぞよろしくお願いいたします。
凰稀かなめ
『The Beginning』
構成・演出:TETSU(Bugs Under Groove)
出演:凰稀かなめ
白華れみ
平澤智
IYO-P(Bags Under Groove)
日程:2015年4月15日(水) 開演 18:30
2015年4月16日(木) 開演 14:00
2015年4月16日(木) 開演 18:30
お問い合わせ:ラウンド・アバウト 03-6418-7205(平日:11時~18時)
情報は書き込んだ時点のものですので、実際の内容と異なる場合があります。
あらかじめご了承下さい。