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演出家 浅利慶太さんインタビュー 浅利演出事務所 『アンチゴーヌ』 を上演 2016年11月

(2016年11月28日記載)

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演出家 浅利慶太さんインタビュー
浅利演出事務所『アンチゴーヌ』を上演

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STORY

テーベの国ではオイディプス王の死後、二人の息子が争って共に倒れた。
王に即位したクレオンは、良き兄エテオクルには盛大な葬儀を行い、弟ポリニスは反逆者として埋葬を禁じ、
これを破った者は死刑に処すと命じた。だが、兄を思うアンチゴーヌはポリニスの亡骸に土をかけ、捕らえられる。
姪で息子の婚約者でもあるアンチゴーヌを救いたいクレオンだが、死を覚悟した彼女の意志は固い。
そこで、クレオンは二人の兄にまつわる隠された真実を告げる…。

◆出演者

アンチゴーヌ:野村玲子
クレオン:山口嘉三
エモン:松本博之
イスメーヌ:坂本里咲
ユーリディス:齊藤奈々江
乳母:佐藤あかり
クレオンの小姓:古庄美和
衛兵:畠山典之
衛兵:折井洋人
衛兵:山本航輔
伝令:桑島ダンテ
合唱:近藤真行

出演者は都合により、変更となる場合がございます。
あらかじめご了承くださいませ。

演出家 浅利慶太さんインタビュー(取材日:2016年11月23日/撮影・執筆 住川絵理)



創設当初から劇団四季を長年牽引してきた浅利慶太さんは2014年に劇団四季の代表を退き、
2015年より浅利演出事務所を拠点に演劇活動を再開した。
これまでに 『オンディーヌ』 『ミュージカル李香蘭』 『思い出を売る男』 『この生命誰のもの』 を上演してきたが、
この度上演されることになったのはフランスの劇作家、ジャン・アヌイの『アンチゴーヌ』である。



◆『アンチゴーヌ』上演の経緯

実はこの『アンチゴーヌ』は浅利さんにとっても演劇活動の原点とも言うべき作品だ。
というのも、1953年、劇団四季の旗揚げ公演はジャン・アヌイの『アルデールまたは聖女』、
そして翌年第2回公演として上演されたのが同劇作家の『アンチゴーヌ』だった。
1954年の初演以来たびたび上演され、近年は2005年に自由劇場で上演された。

初演当時の苦労点を聞いてみると、「俳優を相手に芝居を創るのは、いつでも苦労です」と笑う。
「当時はカッカしながらやっていましたけど、今はリラックスして穏やかに演出していますよ。
もうカッカしながらやるような年齢じゃないですから」と続けた。
演出しながら、前は感情で運んでいたようなところも、ここはもう少し思想的に深くやったほうがいいな
というところも見えてきたと言う。
「シンプルに淡々と見せながら奥行きや深さを感じられるような、しなやかな形でやりたい」と、想いを語った。

前回の2005年上演時に出演していたのは野村玲子と坂本里咲のみ。
それ以外のキャストは初めて挑むことになる訳だが、「今回集まっているメンバーはキャリアもあるので、
そういう意味では楽ですね」と言う。60年前とはだいぶ社会情勢も変わっているが、
「芝居をやる人間は60年前も今もあまり変わらない。
僕のところに集まる人たちは、雑多なものがなくてシンプル。今の人たちの方が、
より深く感じながら演じているような気がします」と語った。

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◆ジャン・アヌイ作、『アンチゴーヌ』の魅力

加藤道夫、芥川比呂志の弟子として育った浅利さんは、フランスの作家の戯曲に触れる機会も多かったと言う。
「仏文系の先輩方に育てられたので、ジャン・アヌイやジャン・ジロドゥ作品はよくやりました。
『アンチゴーヌ』は、ずっと大事にしている作品ですから、時々は上演したいと思っているんです」。

改めてその理由をたずねてみると「このように高いレベルを維持している作品は、
いつやってもその魅力は変わりませんね。超一流作品は、やる人間にとっても毎回新鮮ですし、
何度もご覧になっている方にも新鮮にうつるはずなんです。あとは、主題が深いということと、
感動を受け取ることが出来る作品だということ、更に言うと
あまり長すぎない芝居だというところも上演決定のポイントです」。

かつて、ジャン・アヌイにも実際に会ったことがあるそうで「パリで会いましたが、
どうやって話したらいいか分からないような不思議な人でした(笑)」と当時の思い出を語る。
「向こうも日本で自分の作品をやっている演出家だと聞いて驚いたんでしょうね。
どんな勉強をしたんですか?って言うから、仏文科ですって言ったら更に驚いていましたよ。
そんなことを日本で学ぶんですか?!って(笑)。今は便利な時代になりましたが、
昔はフランスと日本は遠かったから、驚くのも無理はないですね。
でも本当に素晴らしい才能を持った作家だと思います。今、フランス、いやヨーロッパ全体を探しても、
なかなかこんな作家はいないですよ。やっぱり貧しい時代の方がいい作家が出てくるのかな」。

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◆これまでとこれからと・・・

学生時代は、加藤道夫、芥川比呂志を師と仰ぎ、何度もお宅にも行くほど親しくしていたと言う。
更には「僕の父は小山内薫先生らと築地小劇場の設立に参画した人ですし、
僕が幼い頃は大伯父の二代目市川左團次に毎日楽屋に連れて行かれていました。
だから浅利慶太が突然劇団四季を立ち上げた訳ではなく、築地小劇場の流れを受け継いだ精神を持って歩んできた。
新劇の伝統を受け継ぐ人たちに囲まれて生きてこられたのは幸せでしたね」と、自らの歩んだ道を振り返る。
最近は新劇の劇団も個性がなくなり、新劇の理念が薄れてきているようだと、危惧の念を抱いていると述べ
「自分の劇団が立ちあがった時のことを調べて、その個性を活かすことが大事だと思うな」と提言した。

つい最近、浅利さんにとって旧知の仲の平幹二朗が急逝した。
「何十年来の親友。これからのこともしょっちゅう話していました。幹ぐらい残っていてくれたらなぁと思うし、
本当にもったいない・・・」と、辛い胸の内を明かした。

「みんな天国に行っちゃいましたけどね。僕だけ地獄に残っている」。
そうポツリと言った一言に重みを感じずにはいられない。

これからのことを尋ねられると、「芝居は、あまり先のことを考えちゃいけないんですよ。
恋愛と一緒で目先にいる人に夢中にならないと」と、笑みを浮かべた。
来年上演が発表になっている『夢から醒めた夢』も「丁寧に創りたい」と言い、
「これからもお客さんが喜んでくださるだろうなというものを考えながらやっていきたい」と意欲を燃やす。
浅利慶太さん自身から滲み出る言葉に触れ、年齢を重ねて一層魅力を放っている理由に少し近付けた気がする。

 

浅利慶太プロデュース公演『アンチゴーヌ』

 

作:ジャン・アヌイ

翻訳:諏訪 正

演出:浅利慶太

 

日程:2016年12月7日(水)~ 12月11日(日) 5回公演

会場:自由劇場(港区海岸1-10-53)

 

公演に関するお問合せ:浅利演出事務所 03-3379-3509

 

http://www.antigone2016.com/

 

 

 
 

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