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ある父を巡る哀しい喜劇 -誰にとっても身近な話- 日本初演!
『Le Père 父』
◆フランスのモリエール賞で最優秀脚本賞ほかを受賞し、
ブロードウェイのトニー賞、英国のローレンス・オリビエ賞で主演男優賞を受賞した傑作
フランスの気鋭の演出家・ラディスラス・ショラーによって2012年にパリで初演された
本作「LePère 父」は、2014年にはフランス最高位の演劇賞・モリエール賞最優秀脚本賞のほか
様々な賞を受賞した注目作です。英語版に翻訳された後には、ウエスト・エンド、ブロードウェイ
のほか世界30カ国以上で上演され、トニー賞、ローレンス・オリビエ賞の主演男優賞など
各国の主要な賞を受賞しています。
◆認知症の父親役に名優・橋爪功、父に翻弄される娘役に若村麻由美
本作の主人公で、認知症の症状にある父親アンドレを演じてきたのは、ロバート・ハーシュ、
フランク・ラン ゲラ、ケネス・クラナムなどの各国の名だたる俳優たち。
日本初上演となる本公演では、このアンドレ役を日本屈指の名優・橋爪功が演じます。
さらに、フランスオリジナル版を演出したラディスラス・ショラーが日本で初演出。
ほかキャストは、橋爪功演じるアンドレの娘・アンヌに若村麻由美、二人の周辺の人々を
元宝塚歌劇団トップスターの壮一帆、進境著しい太田緑ロランス、そして実力派俳優として
定評のある今井朋彦と 吉見一豊が演じます。
◆夢なのか現実なのか、思い出なのか妄想なのか……。
認知症の「父」の視点で進行する舞台。
時間軸も含めて、認知症になった側の視点で構成されている本作は、
タイムスリップを題材にしたSF小説のような趣さえあり、頑固で居丈高な父親の振舞いで
笑いを誘いながらも、ダニエル・キイスの名作「アルジャーノンに花束を」を彷彿とさせる悲しみが漂います。
ついさっきの会話が実は数年前の出来事であったり、初対面のはずの看護師はかなり前から
世話をしてくれていたり。誰にも起こりうる、認知症患者からの視点で進むSFのような現実。
時間という概念は記憶されるからこそ存在するもので、その記憶が混乱していった人には現実が
どう見えているのでしょう。また、そうなってしまった人を取り巻く家族たちは、
その人とどう向き合っていけばよいのでしょうか。本作はこうした問いを演劇 的に突きつけてきます。
◆高齢者の 5 人に 1 人が認知症となる「高齢化先進国」日本。意義ある初演。
2025年にはいわゆる団塊の世代が全員、後期高齢者と呼ばれる75歳以上になります。
15年に行われた調査によれば、厚労省はその高齢者のうち5人に1人が認知症を発症しているだろうと
推測しています。数にして700万人もの認知症患者を抱える社会が、すぐ目の前にやってきているのです。
そんな「高齢 化社会の先進国」と言われる日本で本作を上演する意義は大きいと言えるでしょう。
わずか数年後には現在の倍以上の人々が突きつけられる事象が、2019年2月、
東京をはじめとする各劇場で繰り広げられます。
80歳のアンドレが1人で暮らすアパルトマンに、娘のアンヌが駆けつける。
若い看護師が泣きながら彼女に電話をしてきたため、父に何らかの異変を感じ、
行くはずだった旅行を急きょ取りやめてやって来たのだった。
アンドレは看護師を自分の腕時計を盗んだと悪党呼ばわりし、自分は 1 人でやっていけるから
看護師の助けなど必要ないと言いはる。しかし、アンヌに指摘されると、その腕時計はいつもの
秘密の場所に隠してあった。 なぜアンヌは誰も知らないはずの自分の隠し場所を知っているのか……。
今自分が居るのは、長年住んだ自分のアパルトマンなのか?
この女や男は誰なのか? 何が真実で何が幻想なのか?
自分自身の信じる記憶と現実との乖離に困惑する父と、父の変化に戸惑う娘。
驚くほど無防備な愛の 残酷さと忍耐の限界をユーモラスに描いた本作は、現代版『リア王』とも呼ばれ、
記憶や時間が混迷していく父の視点で観客が物語を体験していく、という斬新な手法で描かれた
哀しい喜劇(コメディ)。
『Le Père 父』
【作】フロリアン・ゼレール
【翻訳】齋藤敦子
【演出】ラディスラス・ショラー
【美術】エマニュエル・ロワ
【出演】橋爪功 若村麻由美 壮一帆 太田緑ロランス 吉見一豊 今井朋彦
【東京公演】2019年2月2日(土)〜24日(日)
東京芸術劇場 シアターイースト
【兵庫公演】2019年3月16日(土)・17 日(日)
兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
他に上田公演・高知公演・名古屋公演・松本公演
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