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歌舞伎座「二月大歌舞伎」が開幕!公演レポート、舞台写真掲載 2022年02月

(2022年02月05日記載)

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歌舞伎座『二月大歌舞伎』が開幕!公演レポート、舞台写真掲載


『義経千本桜 渡海屋・大物浦』渡海屋銀平実は新中納言知盛=片岡仁左衛門 提供ⓒ松竹

公演概要(リリースより)


2月1日(火)から「二月大歌舞伎(にがつおおかぶき)」(2月1日初日〜25日千穐楽 休演日:8、17日)を開催いたします。
「二月大歌舞伎」は、片岡仁左衛門、中村梅玉はじめ充実の出演者が顔を揃え、見応えたっぷりの多彩な演目が並びます。
歌舞伎座では、出演者・お客様は 各部総入れ替えを行いつつ、1月からは収容人数の制限を緩和して公演を行っています。
引き続き お客様に安心して歌舞伎をお楽しみいただけますよう、換気や消毒を徹底するなど、
今後も感染予防対策に万全を期してまいります。

公演レポート


第一部は、新歌舞伎の名作『元禄忠臣蔵 御浜御殿綱豊卿』で幕を開けます。
舞台は、毎年恒例のお浜遊びが行われている徳川綱豊の別邸・御浜御殿(現在の浜離宮恩賜庭園)。
中村梅玉演じる綱豊は、時期将軍との話もある中、まるで政事に興味がないかのように振る舞っています。
そんな綱豊が本心を明かすのが学問の師である新井勘解由(中村東蔵)。
綱豊の内に秘めた赤穂浪士たちへの熱い思いが垣間見えます。
そんな中、お浜遊びの見物を申し出るのは尾上松緑が初役で勤める赤穂の浪人、富森助右衛門。
お互いの本心を探り合う綱豊と助右衛門のセリフの応酬に、場内には緊迫した空気が流れ、
観客も固唾を飲んで見守ります。襲名の際に演じ、以来30年当たり役とする
梅玉は「節目のときに、また大好きな綱豊をやらせていただくことは、本当に幸せでありがたい、
毎回演じる時にわくわくする役」と語ります。役について「綱豊に必要な風格を大切に勤める」と話した言葉の通り、
聡明さと風格漂う姿で舞台を支配し、物語の世界を見渡すかのように響く綱豊の声に観客も引き込まれていきます。
「ずっと勤めていきたいお役」と上演に先駆けて行われた取材会で熱い思いを語った松緑は、仇討ちへの一途な姿から、
綱豊の言葉を聞き変化していく心の動きを巧みに描きだし、物語はクライマックスに。
助右衛門に「本当の忠義」とは「立 派な復讐」とは何かを諭した綱豊が端然と去っていくと、
客席からは力強い拍手が送られました。


第一部『元禄忠臣蔵 御浜御殿綱豊卿』右より、御祐筆江島=中村魁春、徳川綱豊卿=中村梅玉、中臈お喜世=中村莟玉 提供ⓒ松竹



第一部『元禄忠臣蔵 御浜御殿綱豊卿』右より、徳川綱豊卿=中村梅玉、富森助右衛門=尾上松緑 提供ⓒ松竹


続いては、華やかな舞踊『石橋』
文殊菩薩が住む唐の国の清涼山にある石橋のもとへ獅子の精が現れます。美しく咲き乱れる牡丹の花に戯れる獅子たち。
華やかな音楽に乗って勇猛な獅子の狂いを見せる姿に客席も注目します。そして舞台は最大のみどころである毛振りに。
若手二人を率いる中村錦之助は「若い人には若い人の力強い毛振りがありますが、揃えたうえで、それぞれの持ち味を生かし、
私は優雅に勤めたい」 と筋書でも語った通り、獅子が精霊であることを実感させる神秘的なオーラを放ちます。
錦之助、中村鷹之資、尾上左近が演じる獅子たちの毛振りは圧巻。
客席からは「待ってました!」とばかりに力強い拍手が送られました。

第一部『石橋』右より、獅子の精=中村鷹之資、獅子の精=中村錦之助、獅子の精=尾上左近 提供ⓒ松竹

     *     *     *

第二部の幕開けは、早春の清新な空気を感じる美しい舞踊『春調娘七種』
歌舞伎の世界によく登場する曽我十郎と五郎兄弟による仇討ちの物語を題材とした「曽我物」と呼ばれる作品世界。
ここに、春の七種(ななくさ)の行事を織り込んだ趣向が楽しい一幕です。七種を摘む静御前(片岡千之助)を中央に、
鼓を手にした曽我十郎(中村梅枝) と曽我五郎(中村萬太郎)が並ぶとまるで錦絵のような美しさ。
七種の歌詞が盛り込まれた長唄に合わせリズミカルで賑やかな踊りが続き、三人の見得が美しく決まると劇場は
清々しい早春の空気に包まれました。

第二部『春調娘七種』右より、曽我十郎=中村梅枝、静御前=片岡千之助、曽我五郎=中村萬太郎 提供ⓒ松竹


続いては、『義経千本桜 渡海屋・大物浦』です。 歌舞伎の三大名作の一つである『義経千本桜』の二段目にあたる名作。
今回は「片岡仁左衛門一世一代にて相勤め申し候」と銘打ち、片岡仁左衛門が屈指の大役・渡海屋銀平実は
新中納言知盛を演じ納めます。公演へ向けた取材会では「勤める気持ちや、それに打ち込むエネルギーの
使い方が大切ではないかと思い、(一世一代と)謳わせていただきました。役者はどうしても、もういっぺんやってみよう、
となりかねないですので自分でブレーキをかけるためにも、皆様への公約でございます。
ぜひ見ていただきたい」と最後に挑む知盛への決意と覚悟を滲ませました。
舞台は都を落ち延び九州へ向かう途中の源義経一行が船出を待つ大物浦の船問屋・渡海屋。
前半では仁左衛門演じる渡海屋の主人・銀平が、花道より颯爽と登場し、観客の視線を奪います。
銀平は実は義経(中村時蔵)たちを狙う平知盛。知盛は鎧姿で再登場し、義経を追いかけますが…。
物語の後半では、花道より満身創痍の知盛が登場し、見せ場のひとつである大立廻りが繰り広げられます。
鬼気迫る姿に平家を思う知盛の執念が感じられる場面です。さらに、安徳帝の「仇に思うな」の一言で源氏への恨みの
心から解き放たれた知盛の表情が観る者の心を惹きつけ、そのあとに続く名台詞からは悲壮感が漂います。
最後の力を振り絞り崖を登る知盛と、その様子を息を呑んで見つめる客席。
知盛は碇の綱を身体に巻き付けると大きな碇を担いで潔く海へ身を投げます。
戦の虚しさや武士の哀れを感じさせる渾身の舞台に、一人の武士の生き様、
そして歌舞伎俳優片岡仁左衛門の生き様を目撃した客席からは、 割れんばかりの拍手が鳴り止みませんでした。

『義経千本桜 渡海屋・大物浦』右より、
銀平娘お安実は安徳帝=小川大晴、女房お柳実は典侍の局=片岡孝太郎、渡海屋銀平実は新中納言知盛=片岡仁左衛門 提供ⓒ松竹


『義経千本桜 渡海屋・大物浦』渡海屋銀平実は新中納言知盛=片岡仁左衛門 提供ⓒ松竹

     *     *     *

第三部は、古風な舞踊『鬼次拍子舞』から。
1月28日に既報の通り、中村芝翫が当面の間休演することとなり、坂東彦三郎が代役で山樵実は長田太郎を勤める初日。
幕が上がると舞台は京の外れの山中。中央から山樵(やまがつ)姿に身をやつした平家の武将長田太郎と、
中村雀右衛門演じる白拍子実は松の前がせり上がって登場します。
二人で舞ううち、白拍子は長田の懐に手を入れ笛を奪おうとしますが…。
荒々しさと柔らかさで男らしさを魅せる長田と美しく艶やかな白拍子が、虫の名前が盛り込まれた歌詞に合わせて踊る様子は
目と耳に心地よく観客を魅了します。古風でのどかな味 わいが漂う一幕となりました。

第三部『鬼次拍子舞』右より、白拍子実は松の前=中村雀右衛門、山樵実は長田太郎=坂東彦三郎 提供ⓒ松竹



続いては、『鼠小紋春着雛形 小僧次郎吉』。
奪った金銀を貧しい人に分け与える義賊「鼠小僧」は、江戸時代より庶民のヒーローとして人気があり、
現代でも時代劇をはじめ様々な「鼠小僧」が登場しています。
名作者・河竹黙阿弥が幕末に書いた本作は、鼠小僧が盗み、与えた金により思いもよらぬ展開をみせます。
黙阿弥の七五調の流麗なセリフに乗りながら、見えぬ糸で結ばれた人々の繋がりが徐々に明らかになる心を打つ人間ドラマです。
主人公の鼠小僧こと稲葉幸蔵を初役で勤める尾上菊之助は、「安政は台風や地震が頻発し、世の中が殺伐としていた時代です。
黙阿弥さんは、人がどうしたら笑って明るい気持ちで生きられるかを書いていると私は思っています。
私もこのコロナ禍の時代に、少しでも苦しんでいる方の心に灯りをともすことができれば」と、
令和の今、上演することの意義を述べます。
音羽屋が代々演じてきた作品で、今回、菊之助と蜆売り三吉を演じる尾上丑之助の親子共演は、
大正 14(1925)年に菊之助の曾祖父・六世菊五郎と祖父・七世梅幸(当時丑之助) の以来、97年振りとなることも話題です。
花道から父・菊之助の演じる稲葉幸蔵を追いかけて、丑之助演じる三吉が登場。
ハッキリした口調でセリフを交わすと、客席からは舞台の雪景色をも解かすような、温かい拍手が送られました。
現代に甦る、「令和の鼠小僧」の誕生と、心温まる人情ドラマをお楽しみください。

第三部『鼠小僧次郎吉』右より、稲葉幸蔵=尾上菊之助、蜆売り三吉=尾上丑之助 提供ⓒ松竹


第三部『鼠小僧次郎吉』稲葉幸蔵=尾上菊之助 提供ⓒ松竹



★2022年2月4日発表
第三部は坂東彦三郎休演につき代役にて上演しております。
◆歌舞伎座「二月大歌舞伎」 第三部
『鬼次拍子舞』 山樵実は長田太郎→坂東 亀蔵
『鼠小僧次郎吉』 早瀬弥十郎→ 河原崎 権十郎

 

 

『二月大歌舞伎』/p>

 

公演日程:2022年2月1日(火)~25日(金)/p>

【休演】8日(火)、17日(木)/p>

会場:歌舞伎座

 

https://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/play/743

 

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