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歌舞伎座「八月納涼歌舞伎」が開幕! 2026年08月

(2026年08月11日記載)

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歌舞伎座「八月納涼歌舞伎」が開幕!


©松竹 第二部『らくだ』左より、
紙屑買久六=中村勘九郎、駱駝の馬太郎=片岡市蔵、手斧目半次=松本幸四郎

公演概要(リリースより)


8月2日(日)、歌舞伎座8月公演、「八月納涼歌舞伎」が初日の幕を開けました。
歌舞伎座での「納涼歌舞伎」は平成2(1990)年より
十八世中村勘三郎(当時 勘九郎)と十世坂東三津五郎(当時 八十助)らを中心に、
花形俳優が活躍する公演として人気を博してきました。
今年も恒例の三部制で、怪談物から世話物、美しい舞踊まで多彩なラインナップをお届けします。

第一部の開場前には、松本幸四郎、中村勘九郎、中村七之助、中村歌昇、坂東巳之助、坂東新悟、尾上右近、
中村米吉、中村橋之助、中村福之助、中村虎之介、中村玉太郎、中村歌之助、市川染五郎、尾上辰之助、
中村勘太郎、中村長三郎がそれぞれの直筆の言葉をしたためたうちわを手に、揃いの浴衣で劇場前に登場しました。
幸四郎、勘九郎、七之助、巳之助、右近が登壇者を代表して挨拶し、最後には幸四郎の発声で「みんなで納涼!」
と爽やかな掛け声がひびきわたり、集まったお客様から大きな拍手と声援を受けました。
うちわは公演期間中、出演者27分を劇場2階ロビーに展示しています。

【第一部】

「納涼歌舞伎」第一部は、三遊亭円朝原作、大西信行脚本による通し狂言『怪談 牡丹燈籠』
初代三遊亭円朝の名作落語を基にした本作は、怪談としての怖ろしさにとどまらず、
男女の愛憎や人間の深い煩悩・業を描き出す名作として長年愛され続けています。

本作の大きな特色である、三遊亭円朝(松本幸四郎)が劇中の高座に登場して語り進める演出のもと、
物語は波乱に富んだ展開を見せます。第一幕は大川の舟の場面から。
浪人・萩原新三郎(市川染五郎)への恋ゆえに気鬱の病となった旗本の娘・お露(尾上辰之助)らを乗せた舟と、
平左衛門の後添え・お国(坂東新悟)と深い仲にある宮野辺源次郎(中村橋之助)を乗せた舟がすれ違い
物語の交錯する運命を感じさせます。やがて焦がれ死にしたお露とお米が、牡丹燈籠を携えて新三郎のもとへやってきます。
新三郎の下男・伴蔵(坂東巳之助)が部屋を覗くと、そこには骸骨と抱き合う新三郎の姿が——。
愛し合う新三郎とお露の美しくも妖しげな姿と、怪談物らしいゾクリとする演出に観客は息をのみます。
やがて家中に貼られたお札によって、新三郎に近づくことができなくなったお露にお札を剥がすことを懇願され伴蔵は躊躇しますが、
金に目のない妻のお峰(尾上右近)は金百両と引き換えに請け負い…。
「お札はがし」として良く知られるこの場面では、幽霊に怯えながらも、自らの欲が浮き彫りとなる伴蔵とお峰の
コミカルなやりとりに場内は大きな笑いに包まれます。
ユーモラスな場面を挟みながらも、美しい幽霊のお露に憑り殺される新三郎の姿が印象的に描かれます。

第二幕では、幽霊から手に入れた百両を元手に伴蔵の故郷である野州栗橋で大店の主となった伴蔵とお峰の夫婦と、
落ちぶれた源次郎とお国の姿が描かれます。馬子久蔵(松本幸四郎/二役目)から料理屋の酌婦となった
お国に入れあげている伴蔵の話を聞いたお峰は怒り心頭。生活は安定し成功を収めたものの夫婦仲に亀裂が走った
お峰と伴蔵の緊迫した駆け引きに観客も引き込まれます。
土手では、己が犯した罪を悔いる源次郎がお国と抱き合いながらも、いつしか二人を囲むように飛ぶ蛍の群れのなか、
突如として刀を抜くと…。暗い舞台に、ふわりと舞い飛ぶ蛍の光が印象的で、人間の悲哀と恐ろしさが美しく描き出されました。
暗雲立ち込め遠雷が轟く幸手堤に、仲を取り戻した伴蔵とお峰がやってきます。
本水を用いた雨が降りしきる中、欲望に狂った人間の業、そして迎える凄惨な幕切れに、観客からは大きな拍手が送られました。


©松竹 第一部『怪談 牡丹燈籠』左より
伴蔵=坂東巳之助、お露=尾上辰之助、萩原新三郎=市川染五郎

©松竹 第一部『怪談 牡丹燈籠』左より
宮野辺源次郎=中村橋之助、お国=坂東新悟

©松竹 第一部『怪談 牡丹燈籠』左より
伴蔵=坂東巳之助、お峰=尾上右近

©松竹 第一部『怪談 牡丹燈籠』左より
馬子久蔵=松本幸四郎、お峰=尾上右近

©松竹 第一部『怪談 牡丹燈籠』左より
お峰=尾上右近、伴蔵=坂東巳之助

©松竹 第一部『怪談 牡丹燈籠』左より
お国=坂東新語、宮野辺源次郎=中村橋之助

【第二部】

第二部は、『眠駱駝物語 らくだ』で幕開きです。
昨年11月に急逝した四世片岡亀蔵を偲び、長年共演してきた俳優が一堂に会します。
ゾンビを愛した亀蔵が化粧に独自の工夫を施し持ち役とした死人の役・駱駝の馬太郎を、亀蔵の兄・片岡市蔵が初役で勤めます。
また、平成中村座、コクーン歌舞伎では亀蔵と共に芝居を支え、「淡路屋」の屋号を持つ俳優・笹野高史が歌舞伎座に初登場。
お馴染みの顔ぶれで、お客様と共に在りし日の亀蔵を懐かしみます。
幕が開くと、裏長屋に河豚に当たって死んだ”らくだ”こと馬太郎(片岡市蔵)が横たわっています。
そこへ手斧目半次(松本幸四郎)が戻ってきたところに、紙屑買の久六(中村勘九郎)が通りかかります。
半次は久六を使って、「らくだの香典として供物をだせ、さもなくば死人にカンカンノウを踊らせるぞ」と
長屋の家主佐兵衛(坂東彌十郎)を脅かさせますが、「死人のカンカンノウを見てみたいものだ」と言われた
久六がとぼとぼと帰ってきます。すると、半次は久六にらくだをおぶわせて、家主とその女房おいく(笹野高史)のもとへ向かい…。
亀蔵と共演してきた笹野高史演じる女房おいくが「ツルカメツルカメ…」と言うと、続けて勘九郎の久六と一緒に
「カメカメカメカメ…」というように「亀」という台詞が随所に散りばめられ、亀蔵が当り役とし、
昨年8月歌舞伎座で上演された『野田版 研辰の討たれ』のカラクリ人形について言及する台詞もあるなど、
亀蔵を偲ぶ場面が盛り込まれます。テンポの良い喜劇に笑いが起きながらも、在りし日の亀蔵を思い出す客席からは、
泣き笑いの声も聞こえ、市蔵が勤める馬太郎がカンカンノウを踊ると、笑いと共にあたたかな拍手が。
面白可笑しくも…切なさを感じる一幕。酒をぐいぐい呑んで態度が変わっていく久六が、半次と立場が逆転していく様子に
大きな笑いが起き、幸四郎と勘九郎の息の合ったやりとりに場内は大盛り上がり。
また、酒屋の丁稚役で登場した勘九郎の次男・長三郎は、幸四郎を相手に堂々とした演技をみせ、観客を沸かせます。
市蔵の馬太郎が踊るカンカンノウに客席から手拍子が自然発生し、万雷の拍手が送られました。

©松竹 第二部『らくだ』左より
手斧目半次=松本幸四郎、駱駝の馬太郎=片岡市蔵、家主佐兵衛=坂東彌十郎

©松竹 第二部『らくだ』左より
紙屑買久六=中村勘九郎、手斧目半次=松本幸四郎

©松竹 第二部『らくだ』左より
紙屑買久六=中村勘九郎、駱駝の馬太郎=片岡市蔵、手斧目半次=松本幸四郎

©松竹 第二部『らくだ』左より
紙屑買久六=中村勘九郎、家主女房おいく=笹野高史、駱駝の馬太郎=片岡市蔵、手斧目半次=松本幸四郎


続いては、本興行では実に62年ぶりの上演となる『鬼神のお松』。女盗賊の鬼神のお松を七之助が初役で勤めます。
石川五右衛門、自来也と共に三大盗賊とされる鬼神のお松は、講談、ちょんがれ節などでも題材とされ、悪婆としても有名で、
本作でも盗賊、女房、母親という異なる顔を巧みに演じ分けます。
幕開きは駿河国由井河原近くの茶店。そこへやってきた夏目四郎太郎(中村歌昇)が、ならずものにおそわれている田舎娘を助け、
親切心で家まで送り届けようとします。しかし、実は娘は鬼神のお松(中村七之助)で…。
七之助と歌昇の二人が客席降りをすると、場内は活気に溢れます。やがて河原に着くと、
お松を背負った四郎太郎は川を渡る途中でお松に殺されますが、これは江戸時代の俗謡に唄われた「鬼神のお松」の伝説を
巧みに用いた内容で、突然豹変するお松の姿に客席からは息をのむ声が聞こえます。
お松は愛する夏目四郎次郎(尾上右近)が探している家宝の刀・暁丸の行方を捜すために、
盗賊・鬼神のお松として侍を襲っていますが…。盲目の四郎次郎の前では貞淑な女房の姿を見せるお松が、
大勢の子分たちを引き連れ、女房姿から盗賊の衣裳に着替えて男の姿になると、その凛々しい姿に客席からは
大きな拍手が送られます。乳飲み子を抱いたお松の姿からは母としての情愛も滲み、子分たちが大きな声を発すると
「坊が怯えらぁな」と制するなど、多彩な面を瞬時に演じ分ける魅力的な役柄を七之助が見事に勤め上げ、
客席のボルテージも上がります。やがて、牧村主水(中村扇雀)が登場し、お松の働きで遂に暁丸を手にした
四郎次郎は目が見えるようになりますが、盗賊・鬼神のお松としての姿を見られてしまうと…。
様々に姿を変えるお松の四郎次郎や赤子への愛情を感じた客席からは、割れんばかりの拍手が送られました。

©松竹 第二部『鬼神のお松』右より、
主水妹藤浪=中村米吉、下部柴平=中村虎之介、鬼神のお松=中村七之助、夏目四郎次郎=尾上右近

©松竹 第二部『鬼神のお松』右より、
中央左より、鬼神のお松=中村七之助、篠原一学=中村福之助、後方、主水妹藤浪=中村米吉

©松竹 第二部『鬼神のお松』右より、
鬼神のお松=中村七之助

【第三部】

第三部は、季節の移ろいを描いた変化舞踊『舞鶴雪月花』から始まります。
本作は、十七世中村勘三郎(俳名「舞鶴」)に書き下ろされた中村屋ゆかりの舞踊です。
幕が開くと枝垂れ桜の大樹の前に桜の精(中村七之助)が愛らしい娘姿で桜の名所の景色を歌いながら、
まるで花の香りが漂うような艶やかな踊りをみせます。桜の精の美しさに、客席からは感嘆のため息が。
季節が移り、月明りの下のすすき野となり、幼い松虫(中村長三郎)がはぐれた親を探しています。
親の松虫(中村勘太郎)が現れ喜び合いますが…。短い生命の虫の運命を哀れに踊る姿に観客の心は引き込まれていきます。
舞台は一転、銀世界。雪景色の町中で、炭屋の町娘に恋する雪達磨(中村勘九郎)が、恋心を滑稽に踊って見せます。
娘恋しさのあまり心が燃える雪達磨は、やがて朝日に照らされて…。すでに定評のある勘九郎の雪達磨は、
軽妙さのなかにもどこか切なさを感じる踊りで、観る者をわくわくさせながらもどきどきさせる魅力に溢れます。
今回は、今年公開された映画「Michael/マイケル」でも話題の“キング・オブ・ポップ”マイケル・ジャクソンの振りを盛り込み、
喝采を浴びると、客席は大いに賑わいました。

©松竹 第三部『舞鶴雪月花』より桜の精=中村七之助

©松竹 第三部『舞鶴雪月花』より 雪だるま=中村勘九郎中村七之助

©松竹 第三部『舞鶴雪月花』より 雪だるま=中村勘九郎中村七之助

©松竹 第三部『舞鶴雪月花』より 左から松虫=中村勘太郎、中村長三郎

続いては、坂東玉三郎による地唄舞『雪』です。実在の芸妓をモデルにした、切ない恋心を舞い踊ります。 幕が上がると、屏風の前に仄かな明かりに照らされた玉三郎が現れ、歌舞伎座の広い空間すべてが舞台上の玉三郎に集中し、
客席からは大きな拍手が送られます。俗世を離れて仏門に入った女が、独り寝に思い出すのは昔の恋人のこと。
雪の夜に男の訪れを待ちわびた切ない日々に思いを馳せます。客席は息をのんで玉三郎の舞いの一手一手を堪能し、
上方らしい優艶さにあふれる舞で、歌舞伎座全体が静謐な空気で満たされました。

©松竹 第三部『雪』坂東玉三郎

そして、玉三郎による『残月』。月の美しい情景と、命の儚さを舞う一幕。
舞台に明かりが灯ると、玉三郎がその明かりの中へ進み出ます。白い衣裳に身を包んだ玉三郎の美しさに、
客席からはため息がもれます。磯辺の松の葉に隠れ、沖へ入る月。早くに世を去った女がひとり…。
江戸中期に活躍した音楽家・峰崎勾当が、門下の早世した娘を悼んで作った名曲です。
『雪』と並び称される珠玉の作であり、見え隠れする月の情景と儚い命の面影が静かに重なり合います。
繊細な玉三郎の舞と、扇子の微細な動きで情景を表現する姿に観客は魅了されました。
歌舞伎座の空間でしか体感できない玉三郎珠玉の地唄舞二題は、観る者に幸福な余韻を残し、鳴りやまぬ拍手で打ち出しとなりました。

©松竹 『残月』坂東玉三郎

 

八月納涼歌舞伎

 

公演期間:2026年8月2日(日)~26日(水)

劇場:歌舞伎座

 

https://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/play/977

 

 

 
 

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